注入中、30度くらいに上体を上げるのはなぜ?|経管栄養
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は経管栄養注入中の姿勢に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
注入中、30度くらいに上体を上げるのはなぜ?
経管栄養では、チューブを通じて直接胃の中に流動物が入るため、誤嚥の危険性がないように思われますが、姿勢によっては逆流が起こって気管に入ってしまう危険性もあります。こうした逆流が最も起きやすいのは、臥位です。そこで、注入中は30度くらいにベッドをアップすることが望ましいとされています。
上半身をやや上げた姿勢にすると、重力の作用で流動物が十二指腸へ流れやすくなるという利点もあります。特に、胃の蠕動運動が十分でない患者、幽門(ゆうもん)部に狭窄がある患者などは、胃の中に流動物が長時間停留すると腹部膨満や嘔吐などを起こす場合がありますので、上半身をやや上げるようにします。
ただし、長期間臥床している患者は、頚部や背部の筋力が衰えて頚部の安定が悪くなっている場合もありますので、枕やクッションで安定した姿勢が保持できるようにすることも必要です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版