在宅人工呼吸療法患者とは、どうコミュニケーションをとる?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「在宅人工呼吸療法患者とのコミュニケーション」に関するQ&Aです。
中山優季
東京都医学総合研究所難病ケア看護プロジェクト副参事研究員
在宅人工呼吸療法患者とは、どうコミュニケーションをとる?
状態、残存機能を生かしたAAC(拡大・代替コミュニケーション)を見つけられるよう支援します。
〈目次〉
在宅人工呼吸療法患者とのコミュニケーション
人工呼吸器を装着すると、特に気管切開では声帯に空気が通りにくくなる。
疾患によっては構音障害をきたすことによって、会話による意思伝達が困難となる。
コミュニケーション方法
1AACの概要
AAC(拡大・代替コミュニケーション)*とは「手段にこだわらず、その人に残された能力とテクノロジーの力で自分の意思を相手に伝えること」である。現在ではIT*の発達によりさまざまな方法が開発されている。
表1にAACの概要を示す。
AACには、文字盤や口文字盤・読み上げ式のように、機器を使用しないものから、スイッチ類(表2)・意思伝達装置まで種類が豊富である。
2AC選択のポイント
いずれも、1種類ではなく、複数手段を確保しておくとよい。
進行性の疾患の場合、1つの手段をずっと使用できるとは限らない。そのため、使いにくさが生じている、疲れやすい、セッティングにいつも以上の時間がかかるなどの状況を勘案しながら手段の変更を考慮した支援が必要である。
- AAC(augmentative & alternative communication):拡大・代替コミュニケーション
- IT(information technology):情報技術
- VOCA(voice output communication aid):携帯用会話補助装置
[文献]
- (1)8020推進財団;平成20年3月㈶8020推進財団指定研究,「入院患者に対する包括的口腔管理システムの構築に関する研究」研究班,主任研究者:寺岡加代.:入院患者に対するオーラルマネジメント.8020推進財団,東京,2008.
- (2)川村佐和子監修,中山優季編:ナーシングアプローチ難病看護基礎と実践.桐書房,東京,2014.
- (3)石川悠加 編:NPPVのすべて これからの人工呼吸.医学書院,東京,2008.
- (4)中山優季:在宅人工呼吸ケア.道又元裕編,人工呼吸ケア「なぜ・何」大百科,照林社,東京,2008:457.
- (5)中山優季:在宅人工呼吸療法の実際.道又元裕,小谷透,神津玲編,人工呼吸管理実践ガイド,照林社,東京,2009:292-302
- (6)川口有美子,小長谷百絵編著:在宅人工呼吸器ポケットマニュアル.医歯薬出版,東京,2009.
- (7)特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究班「工呼吸器装着者の訪問看護研究」分科会編:人工呼吸器を装着しているALS療養者の訪問看護ガイドライン.2000.
- (8)東京都福祉保健局:難病患者在宅人工呼吸器導入時における退院調整・地域連携ノート.http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/joho/soshiki/hoken/shippei/oshirase/taiintyousei_tiikirenkeinoto.files/tiintyouseirenkeino-to250711.pdf(2014年11月18日閲覧).
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社