石鹸清拭の際、2回以上拭き取りが必要なのはなぜ?
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は石鹸清拭の拭き取りに関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
石鹸清拭の際、2回以上拭き取りが必要なのはなぜ?
石鹸分が皮膚に残ると、皮膚を刺激して掻痒(そうよう)感や発赤などの皮膚トラブルの原因になることがあるからです。
石鹸を用いて清拭を行った場合は、2回以上拭き取りを行います1)。熱めのタオルを絞り、清拭した部位を拭き取るようにすると、短時間で効率的に拭き取ることができます。
皮膚表面は皮脂膜によって弱酸性(pH4.5~6.5)に保たれています。これによって皮膚が保護され、細菌の増殖が抑えられています。石鹸の多くは弱アルカリ性であるため、皮膚のpHを元の状態にするためにも、十分に拭き取りを行う必要があります。
なお、石鹸は泡立てて使用したほうが、清拭をする前の皮膚のpHに戻りやすいという報告もあります2)。
拭き方のポイント
拭き方のポイントは次の通りです。
1ウォッシュクロスを患者の肌から離さないで拭く
末梢から中枢に向けて拭く時はある程度力を入れ、中枢から末梢に戻る時は軽く拭きます。
2腕や足は一巻きするように拭く
末梢から中枢へと少しずつウォッシュクロスの位置をずらしながら、20~30cmくらいの幅で往復させ、そのままぐるりと一周するように拭き進みます。このようにすると、拭き残しや二重拭きをしないで効率よく進められます。
3胸部や腹部は円を描くように拭く
乳房は筋の走向に沿って外側から中心に向けて円を描くように拭き、下を拭き残さないように注意します。腹部は腸の走行に合わせて拭きます。
4関節を支えながら拭く
例えば上肢の清拭を行う場合、腕全体を持ち上げてしまうと患者は苦痛や疲労感を感じます。前腕を拭く時には上腕をベッド上に置き、手首の関節を下から支えるようにすると患者の安楽感が増します。
[引用・参考文献]
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版