心尖拍動も併せて測定するのはなぜ?|脈拍測定
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は心尖拍動に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
心尖拍動も併せて測定するのはなぜ?
心尖(しんせん)拍動とは、心尖部で感じられる拍動をいいます。
僧帽弁の発する心音が聴取できる領域で、三尖弁や大動脈弁、肺動脈弁の心音より聴取しやすいという特徴があります。そのため、心拍数を測定する時は心尖部で行います。
不整脈のある患者、心機能改善の薬物治療を受けている患者、高齢の患者などは、リズム不整や心房細動などがある場合が多いので、脈拍と同時に心尖拍動(心音)も聴診し、心機能に異常がないかどうか調べる必要があります。心尖部の位置は、左胸部第5肋間と、鎖骨中線の垂線の交点です。
脈拍と心尖拍動を同時に測定する時は、慣れないうちは2人で同時に測定し、1分間の脈拍数と心拍数の差を見ます。
心機能が正常に機能していれば、脈拍数と心拍数は一致します。しかし、心臓の収縮が不規則になると血流量が少なくなり、収縮時の脈拍が弱くなったり、感じられない場合があります。心臓の2つの鼓動が接近すると、2つめの鼓動ではごくわずかな血液しか送り出さないためです。これにより、脈拍数と心拍数に差が生じることになります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版