チェスト・ドレーン・バック(分離型)|ドレナージ吸引装置の使い方
『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はチェスト・ドレーン・バック(分離型)について説明します。
編著 窪田敬一
獨協医科大学医学部第二外科教授
〈目次〉
- チェスト・ドレーン・バックの使用部位・適応
- チェスト・ドレーン・バックの各部の名称と機能
- チェスト・ドレーン・バックの使用手順
- チェスト・ドレーン・バックの保守・点検
- チェスト・ドレーン・バックの使用上の注意
チェスト・ドレーン・バックの使用部位・適応
- 胸腔内ドレナージ:肺切除術、開胸を伴う食道手術、開胸を伴う脊椎手術
- 胸骨下、心ドレナージ:開心術
チェスト・ドレーン・バックの各部の名称と機能
チェスト・ドレーン・バックの使用手順
1水封室への注水(水封止-ウォーターシール)
- ①連結コネクターからシリンジで約30mLの滅菌蒸留水を注入する。
- ②注水量の調整は、水位調節ポートに針付きシリンジを刺して行う。
2吸引圧制御ボトルへの注水(吸引圧設定)
- ①空気導入口にシリンジで設定圧まで注水する。
- ②水位の調節は、空気導入口にシリンジを差し込み、吸引または注水して行う。
3ボトルの接続、金具取り付け
- ①連結コネクターを吸引圧制御ボトルの差込み口に接続する。使用しないほうは閉じる。
- ②吊り下げ金具をハンガーに取り付ける。
4気密性の確認
- ①胸部ドレーン接続チューブをクランプする。
- ②吸引源(院内配管または吸引ポンプ)に吸引ポンプ接続コネクターを接続し、吸引を開始する。
- ③水封室内の水に泡が見られなくなり、吸引圧制御ボトルに気泡が発生したら、吸引ポンプ接続コネクターを吸引源から外す。
- ④水封室の水が上昇すること、上昇した水が下がらないことを確認する(20~30秒間)。
- ⑤確認後、クランプを解除する。
5接続・固定
- ①胸腔ドレーン接続コネクターとドレーンを接続し、排液ボトルと吸引圧制御ボトルがしっかり接続できているかを確認する。
- ②吸引源と吸引圧制御ボトルを接続する。
6吸引
- ①吸引源のスイッチをオンにする。
- ②エアリークの確認(水封室の水に泡が出なくなることを確認する)。
- ③吸引開始:ドレーンのクランプを解除する。
7排液ボトル交換
- ①ドレーンをクランプし、吸引源のスイッチを切る。
- ②ドレーンとコネクティングチューブのコネクターを取り外す。
- ③裏面のテープを剥がし、排液ボトル側の吊り下げ金具を外し、ボトルをスライドさせて取り外す。
- ④新しい排液ボトルを滅菌袋から取り出し、ハンガーに取り付け、テープ止めする。
- ⑤水封室に注水し、吸引圧制御ボトルに接続する。
- ⑥吸引源のスイッチを入れ、水封室の水に泡が出なくなることを確認する。
- ⑦クランプを解除してドレナージを再開する。
チェスト・ドレーン・バックの保守・点検
一般のディスポーザブル製品の取扱いに準じる。
チェスト・ドレーン・バックの使用上の注意
- 胸腔内の強陰圧を空気注入にて解除する場合は、滅菌フィルターをつけたシリンジで行う。
- 吸引源のスイッチを入れる前に、吸引圧のレベルを最低にしておく。スイッチを入れたら圧を徐々に上げ、吸引圧設定ボトル内の水に泡が発生したところで固定する。
- ドレナージ期間が長くなると吸引圧制御ボトル内の水が蒸発し、設定圧より低くなるため、注水する必要がある。この際、吸引中に空気導入口から注水すると、吸引源の圧が直接胸腔内に働き危険となる。注水する場合は必ず、連結コネクターを連結コネクターの差込口から外す(または胸腔ドレーンをクランプする)。
- 吸引中に大量の検体採取を行うと、胸腔内圧が低下するおそれがあるので避ける。
- 空気導入口は指等で塞がない。
[販売元/資料請求先]
住友ベークライト株式会社 医療機器事業部
〒140-0002 東京都品川区東品川2-5-8 天王洲パークサイドビル
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*掲載時のものです。
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[出典] 『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版』 (編著)窪田敬一/2015年7月刊行/ 株式会社照林社