ドレーンは、閉鎖式と開放式、どちらを使うのがいいの?
『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「ドレーン」に関するQ&Aです。
玉森 豊
大阪市立総合医療センター消化器外科副部長
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長
ドレーンは、閉鎖式と開放式、どちらを使うのがいいの?
最近では多くの場合、閉鎖式ドレーンが用いられています。
〈目次〉
「閉鎖式」「開放式」とは?
閉鎖式ドレーンとは、カテーテルにバッグを接続して貯留させるドレーンです(図1)。
これに対し、開放式ドレーンはカテーテルを短く切断して、上からガーゼを当ててそこに染み込ませるドレーンのことで、代表的なものにペンローズドレーンがあります(図2)。
なぜ閉鎖式ドレーンがよく用いられるの?
排液量が少ない場合には開放式ドレーンのほうが排液の性状変化を把握しやすいため、有用といわれてきました。しかし、多量のガーゼを要し処置の手間がかかること、他の患者への感染の危険があること、反対に逆行性感染のリスクも高いという欠点があります。
このように、主に感染予防の観点から開放式ドレーンは徐々に使用が控えられるようになりました。また、腹腔ドレーンとして留置されたものが、腹腔内に迷入したという報告もあり、最近では医療安全の面からも好ましくないといわれています。
これに対して閉鎖式ドレーンは長いチューブにつながり離床の妨げになるという欠点がありますが、挿入部からの漏れがなければ開放式よりも衛生的で処置の手間もかかりません。排液量の計測が容易で、また機械などで吸引をかけなくてもサイフォンの原理を利用することにより有効なドレナージを得ることが可能です。
閉鎖式ドレーンにはどのようなものがあるの?
腹腔内に留置する閉鎖式ドレーンは、ドレナージをよくするために形状にいろいろな工夫がされています。
デュープル(図3-a)はメインルーメンのまわりを取り巻くように小さなルーメンがあり、プリーツ(図3-b)は波型の断面になっています。またJ-VACⓇ などのブレークドレーン(図3-c)はスリットが入った構造になっており、これらはいずれも毛細管現象を有効に利用しようという考えでつくられています。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社