テープ以外のデバイスを使った気管チューブの固定方法は?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「気管チューブの固定方法」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
テープ以外のデバイスを使った気管チューブの固定方法は?
固定力が強いデバイス、皮膚にやさしいデバイス、顔面に固定しないデバイスがあります。緊急時には簡便で固定力の強いもの、皮膚が脆弱なときは皮膚障害を起こしにくいものを選択します。
〈目次〉
- 固定力の強い固定器具
- トーマスチューブホルダー
- グリップETチューブホルダー
- 皮膚にやさしい固定器具
- 挿管チューブ固定ホルダースタビロック
- アンカーファスト
- 顔面に固定しない固定器具
- 気管内チューブホルダー
固定力の強い固定器具(図1)
1トーマスチューブホルダー(図1-A)
テープを使用せず、バイトブロックを同時に装着できる。
すばやく確実に固定できるため、緊急時に活用される。
ダブルルーメンチューブやラリンジアルマスクなどの固定にも使用できる。
口腔がほとんどふさがれてしまい、ケアしにくく、皮膚障害を起こしやすい。
2グリップETチューブホルダー(図1-B)
テープを使用せず、バイトブロックを同時に装着できる。
二重ロック機構により確実に固定できる。
大人~小児まで1サイズで、ラテックスフリーである。
片側が広く開いているため、オーラルケアなどを行いやすい。
皮膚障害が生じやすい。
皮膚にやさしい固定器具(図2)
1挿管チューブ固定ホルダースタビロック(図2-A)
低刺激性の固定テープを貼り、表面のマジックテープでネックバンドを固定するデバイスである。
ネックバンドには、気管挿管チューブを固定するホルダーがついている。
2アンカーファスト(図2-B)
ネックバンドを後頭部にまわして固定するデバイスである。
バイトブロックはない。
ハイドロコロイド材を使用しており、皮膚障害を起こしにくい。
気管チューブの位置を左右に変えられるため、オーラルケアが容易である。
顔面に固定しない固定器具
1気管内チューブホルダー(図3)
マジックテープでホルダーに巻きつけ、首で固定するデバイスである。
バイトブロックはない。
顔面にテープで固定しないため、顔面外傷の患者などに使用する。
固定力は弱い。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社