気管チューブの種類は、用途によって異なるの?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「気管チューブの種類と用途」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
気管チューブの種類は、用途によって異なるの?
気管チューブでは、両肺を換気する一般用チューブと、分離換気用に内腔が2つに分かれているダブルルーメンチューブがあります。その他、特殊な形状のものや、特殊な機能を有するチューブもあります。
〈目次〉
両肺換気用のチューブ
1一般用チューブ
両肺を換気する一般的なチューブは、カフあり/カフなしの2タイプがある。
カフありチューブは、さらに、カフ上部吸引あり/なしの2タイプに分かれる。
チューブの先端にマーフィー孔(側孔)があるタイプと、ないタイプがある。
図1両肺換気用チューブ
2特殊なチューブ
術操作により屈曲やねじれが起こる場合に使用するものとして、らせんワイヤー入りのスパイラルチューブ、リンフォース気管内チューブなどがある。
術野を邪魔しないために最初からチューブの上部が屈曲しているものとしてテーパーガードTMレイ気管チューブなどがある。
ダブルルーメンチューブ(図2)
胸腔鏡下手術では、肺の虚脱部で術操作を行うため、片肺換気ができるダブルルーメンチューブを用いる。
ダブルルーメンチューブは、健側肺への血液や膿の垂れ込みを防止したいとき(大量の肺出血や肺膿瘍など)、胸腔や皮膚に交通している場合(気管断裂や気管支瘻など)など、陽圧換気の適応でないときに用いられることもある。
その他:カフに工夫のあるチューブ
カフの形状にも、テーパー型(円錐状に先が細くなる)、円筒型、球形の円型、卵型などがある。
一定のカフ圧を維持できるランツチューブ、カフの口側にある側孔からカフ上部吸引が容易なテーパーガードTMエバック気管チューブなどもある。
カフの形状も、大容量で気管壁に低圧でシールできるカフ(最近はこのタイプが多い)と、低小容量で気管壁に高圧がかかるカフがある。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社