酸素流量計の種類と違いは?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「酸素流量計」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
酸素流量計の種類と違いは?
酸素流量計には、大気圧式と恒圧式があります。
大気圧式は低流量システムでしか使用できません。恒圧式は低流量・高流量システムともに使用可能です。
また、COPDなど2L/分以下で0.1L/分ずつ酸素流量の調整が必要な場合は、低流量タイプの酸素流量計を使用します。
〈目次〉
酸素流量計の種類
酸素流量計には「大気圧式」「恒圧式」の2種類があり、それぞれ選択すべき酸素療法器具や保管方法が異なる(図1)。
外観ではほとんど見分けがつかないが、「大気圧式」と「恒圧式」を見分ける2つのポイントを以下に示す。
- ①「恒圧式」には、目盛りがついているゲージ管に「0.4MPa」の表示がある。
- ②「恒圧式」は、流量計を配管にセットした際、流量計のコマが一瞬浮き上がる。
1大気圧式
「大気圧式」では、流量計内部の圧力がほぼ大気圧(1気圧≒0.1MPa)に維持される設計構造になっている(図1-A)。そのため、高流量システムなどの流量抵抗がかかる器具を使用すると、コマの位置で設定した酸素流量より多くの酸素が流れてしまう。
「大気圧式」流量計を使用する際は、低流量システム(鼻カニューラ、フェイスマスク、リザーバーマスク)に限定する。
2恒圧式
「恒圧式」では、流量計内部の圧力に配管圧力(0.4MPa)がかかっている。そのため、流量抵抗のある高流量システム(ベンチュリーマスクなど)であっても正確な酸素流量で使用できることから、高流量・低流量システムともに使用できる(図1-B)。
「恒圧式」は、長期間圧力がかかった状態でいると、流量計カバーが劣化して破裂する可能がある。そのため、使用後は酸素配管から外して保管する。
3その他(低流量タイプ)
上記2種類の他、「低流量タイプ」の酸素流量計もある。これは、COPDなど2L/分以下で0.1L/分ずつ酸素流量を調整する必要がある場合など、通常の流量計(1L/分ずつの目盛り)では不可能な微調整を行うときに使用する。
[文献]
- (1)田勢長一郎:酸素療法・酸素療法の適応と中止.丸川征四郎,槇田浩史 編,呼吸管理・専門医にきく最新の臨床,中外医学社,東京,2003:58-60.
- (2)瀧健治:呼吸管理に活かす呼吸生理 呼吸のメカニズムから人工呼吸器の装着・離脱まで.羊土社,東京,2006:95.
- (3)Kallstrom TJ. AARC Clinical Practice Guideline:Oxygen thrapy for adults in the acute care facility-2002 revision & update. Respir Care 2002; 47: 717-720.
- (4)宮本顕二:インスピロンQ&A「より安全にお使い頂くために」 Q10.日本メディカルネクスト株式会社.(2014年11月18日閲覧).
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社