交感神経と副交感神経はどのようにバランスをとっているの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「交感神経と副交感神経」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

交感神経と副交感神経はどのようにバランスをとっているの?

交感神経と副交感神経は、同時に働きながら、互いが拮抗しています。

 

これはどういうことかというと、どんどん働けという交感神経の指令と、もっと休めという副交感神経の指令が、各臓器に対して同時に伝わっているのです。このとき、臓器はより強い指令を発するほうの神経に従います。

 

すなわち、食後であればもっと休めという副交感神経からの指令が強くなり、消化ホルモンの分泌が増加したり、胃腸管(消化管)の運動が活発になるという具合です。

 

副交感神経が働いているときに交感神経が完全に休んでいるわけではありません。たとえ優位でなくなっても、完全にスイッチを切ってしまっているわけではないのです。

 

こうした状況を、副交感神経が優位になっているとか、交感神経が優位になっていると表現します。片方の神経がボリュームを上げているときには、もう片方の神経がボリュームを下げた状態ともいえます。

 

もともと交感神経は身体を戦闘モードにする神経、副交感神経は身体をリラックスモードにする神経です。

 

ヒトは普通、食事はリラックス状態で、職場での仕事などは緊張・戦闘状態で行いますので、そのときに使用しない神経を省エネモードにしてあります。

 

食事中に仕事の電話がかかってきて対応せざるをえなくなるなど、状況が急に変化した場合でも、安静モードから戦闘モードへとすばやくスイッチを切り替えることができるのです。

 

※編集部注※

当記事は、2018年1月11日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

⇒〔解剖生理Q&A 記事一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ