ウィーニングは、どう開始するの?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「ウィーニングの開始方法」に関するQ&Aです。
奥田晃久
東京慈恵会医科大学附属病院臨床工学部
ウィーニングは、どう開始するの?
ウィーニングの開始条件に達したら、FIO2≦0.4でTピース、もしくはPEEP5cmH2O + PS(pressure support)5~7cmH2Oに設定し、SBTを開始します。
〈目次〉
ウィーニング方法には、SBT、(S)IMV、PSV、NPPV(非侵襲的陽圧換気)がある。
SBTによるウィーニング
SBTは、FIO2≦0.4でTピース、もしくはPEEP5cmH2O + PS5〜7cmH2Oに設定し、この設定に耐えられるか評価する(表1)。
SBTの進め方 |
---|
①人工呼吸中と同じ酸素濃度とする
②設定:Tピース下で自発呼吸
③ まずは5分間観察する。ここで頻呼吸などの呼吸負荷による変化が見られることが多いので、この間は必ずベッドサイドで患者の状態を頻繁に観察し、問題があればSBTの施行を中止する
④問題がなければ、本試験に移行する
⑤SBT成功基準を満たすときは合格とする
|
SBTは、TピースでもPEEP+PSでも再挿管率に有意な差はないと示されており(7)、どちらの方法でもよい。
SBTを30~120分間実施して評価するが、抜管成功率や再挿管率に有意な差はないと報告されている(8)。
SBTを用いたウィーニングは、PSVより2倍、(S)IMVより3倍速く離脱でき、その成功率は高いと報告されている(1)。
(S)IMVやPSVによるウィーニング
(S)IMVやPSVによるウィーニングは、自発呼吸を評価しながら強制換気回数やサポート圧を徐々に下げていく方法である。
PSVを用いたウィーニングは、Tピースや(S)IMVよりも早期に離脱が可能であったという(9)。
上記より、SBTが最も有効なウィーニング法であり、(S)IMVはウィーニングに適していない方法であるとされた。
略語
- NPPV(noninvasive positive pressure ventilation):非侵襲的陽圧換気
- FIO2(fraction of inspired O2 concentration):吸入気酸素濃度
- PEEP(positive end expiratory pressure ventilation):呼気終末陽圧換気
- PS(pressure support):プレッシャーサポート
[文献]
- (1)Esteban A, Frutos F, Tobin MJ, et al. A comparison of four methods of weaning patients from mechanical ventilation. Spanish Lung Failure Collaborative Group. N Engl J Med 1995; 332: 345- 350.
- (2)Boles JM, Bion J, Connors A, et al. Weaning from mechanical ventilation. Eur Respir J 2007; 29: 1033- 1056.
- (3)Kollef MH, Shapiro SD, Silver P, et al. A randomized, controlled trail of protocol-directed versus physician–directed weaning from mechanical ventilation. Crit Care Med 1997; 25: 567-574.
- (4)日本集中治療医学会ICU機能評価委員会:人工呼吸関連肺炎予防バンドル2010改訂版.(2014年11月18日閲覧).
- (5)NIH NHLBI ARDS Clinical Network. Mechanical Ventilation Protocol Summary.(2014年11月18日閲覧).
- (6)Girard TD, Kress JP, Fuchs BD, et al. Efficacy and safety of a paired sedation and ventilator weaning protocol for mechanically ventilated patients in intensive care (Awakening and Breathing Controlled trial): a randomised controlled trial. Lancet 2008; 371: 126-134.
- (7)Esteban A, Alia I, Gordo F, et al. Extubation outcome after spontaneous breathing trials with T-tube or pressure support ventilation. The Spanish Lung Failure Collaborative Group. Am J Respir Crit Care Med 1997; 156: 459-465.
- (8)Esteban A, Alia I, Tobin MJ, et al. Effect of spontaneous breathing trial duration on outcome of attempts to discontinue mechanical ventilation. Spanish Lung Failure Collaborative Group. Am J Respir Crit Care Med 1999; 159: 512-518.
- (9)Brochard L, Rausse A, Benito S, et al. Comparison of three methods of gradual withdrawal from ventilatory support during weaning from mechanical ventilation. Am J Respir Crit Care Med 1994; 150: 896-903.
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社