術中に手袋が破れなければ交換は不要?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「術中の手袋の交換」に関するQ&Aです。

 

田嶋哲三
大阪市立総合医療センター消化器外科
清水貞利
大阪市立総合医療センター肝胆膵外科副部長
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

術中に手袋が破れなければ交換は不要?

 

いいえ。長時間の手術では手袋が破れていなくても交換が必要です。

 

〈目次〉

 

なぜ手袋を交換しなければならないの?

手術用手袋は患者に無菌操作を保証するものです。しかし、術前に十分手洗いを行っても長時間手袋を装着していると内部には細菌が増殖することが証明されており、手術用手袋に破損があった場合は、SSI(surgical site infection:手術部位感染)発症の危険性が増すと考えられています(2)。

 

また、手術用手袋は患者血液や体液から手術関係者を守る役割も担っており、手術用手袋に破損があった場合は、手術関係者の職業感染の危険度が増すことになります。

 

手術用手袋のピンホール破損は、着用時間に比例して発生頻度が増加すると報告されています(1,2,3)。また、手術用手袋の品質に関してはJIS規格では1.5%までのピンホール不良が容認されています。術中に手術用手袋に明らかな破損が認めない場合でも、目に見えず気づきにくいピンホール破損が発生している可能性があります。

 

これらの点から、特に長時間の手術では術中の手袋交換は必要と考えられています。

 

手袋を交換するタイミングはいつ?

前述した理由で術中の手袋交換が必要であると考えられますが、そのタイミングに関してはCDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)ガイドラインにおいても明記されておらず、科学的な検討は十分なされていません。

 

施設によってそのタイミングはさまざまですが、2~4時間で交換している施設が多く、当院では3時間おきに清潔操作者全員の手袋を交換しています。

 

 


[文献]

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

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