手術室に入る前にひげは絶対に剃る?かつらは絶対に外す?
『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「術中の"ひげ"や"かつら"」に関するQ&Aです。
牧野圭子
大阪市立総合医療センター看護部(中央手術部)
奥谷龍
大阪市立総合医療センター麻酔科
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長
手術室に入る前にひげは絶対に剃る?かつらは絶対に外す?
どちらも“絶対”というわけではありません。
〈目次〉
ひげがあってもチューブを固定できる器具もある
従来、術前にひげを剃っていたのは、ひげがあると、マスク換気のときにマスクがフィットせず換気困難になる可能性があるからです。また、ひげがあると、挿管チューブをテープでしっかりと固定できないという問題もあります。
挿管チューブの固定にテープではなくチューブホルダー(図1)を用いると、ひげがあってもしっかりと固定できるため、術前にひげを剃らなくても大丈夫です。
かつらにより頭皮の損傷や熱傷のリスクがある
術前にかつらを外すのは、かつらをつけていると、かつらの留め具の材質によって、頭皮の損傷の危険性があるからです。また留め具に金属が使用されていると、電気メスを使用したときに通電する可能性があり、熱傷の危険性があります。
よって、かつらに皮膚を損傷する危険のある硬い材質のものが使用されていないかを確認し、特に危険のないかつらとあらかじめ確認されれば、術中につけていても問題ありません。しかし、これらの問題がないかつらを使用していても、高価なかつらが術中の予期せぬことで破損しないとは限らないため、できれば外すことが望ましいでしょう。
また、プライバシーへの配慮から、手術室入室後に外して、退室する際に着用するなどの工夫も可能です。手術室入室後にかつらを外してもらえるように、術前にきちんと危険性を説明しておくことが重要です。
患者さん本人に「かつらですか?」とは聞きづらいです・・・。
問診票の質問項目に加えたり、外すものの一覧表を作って患者さんと看護師で一緒にチェックするというのはどうかな。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社