パルスオキシメータって、なに?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「パルスオキシメータ」に関するQ&Aです。

 

尾野敏明
杏林大学医学部付属看護専門学校非常勤講師

 

パルスオキシメータって、なに?

 

パルスオキシメータは、血液中の酸素飽和度を、経皮的かつ連続的に測定する装置です。
本来、採血し、BGA(血液ガス分析)装置で分析しなければ測定できない酸素飽和度を、採血せず非侵襲的に測定できるようにしたものが、パルスオキシメータです。

 

〈目次〉

 

パルスオキシメータのしくみ

パルスオキシメータは、BGA(血液ガス分析)で測定する実際の酸素飽和度に近似するように設計されている。そのため、簡便かつ非侵襲的で連続的に酸素飽和度を監視することができる。

 

パルスオキシメータの測定原理

酸素と結合したヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン)は鮮紅色を呈し、酸素を放出したヘモグロビン(還元ヘモグロビン)は暗赤色を呈している。そのため、動脈血は鮮紅色を、静脈血は暗赤色を呈している。

 

酸素化ヘモグロビンは赤外光をよく吸収し、還元ヘモグロビンは赤色光をよく吸収するという特徴をもっている。パルスオキシメータはこれらの特徴を利用し、赤色光と赤外光という異なる2種類の波長の光を当て、それぞれの透過率から酸素飽和度を求めている(図1)。

 

図1パルスオキシメータの測定原理

パルスオキシメータの測定原理

 

ただし、光の透過率の測定値には、動脈血の酸素飽和度だけでなく、静脈血や組織の値も含まれてしまう。これでは正確に動脈血の酸素飽和度の測定ができないため、パルスオキシメータには静脈血や組織の成分を除去する工夫がなされている。

 

パルスオキシメータ使用時の注意点

静脈血や組織の容量成分はほとんど変化しないが、動脈血は脈拍に同期して常に変動している。したがって、その変化しているぶんだけを検出すれば、動脈血のみの酸素飽和度を測定できる。そのため末梢循環の不良などで、動脈の拍動をきちんととらえられないと、正確な測定値が得られない。

 

センサーをきつめに装着してしまい、それにより静脈拍動が見られるような場合も、正確に測定できない(図2)。

 

図2末梢の拍動

末梢の拍動

 

その他、測定の特性上、外から光を当てて吸光度を計測しているため、センサー部分に日光や照明などが直接当たるような場合や、濃い色のマニキュアなどが塗られている場合には誤差を生じる危険性がある。

 

略語

 

  • BGA(blood gas analysis):血液ガス分析

 


[文献]

  • (1)道又元裕,小谷透,神津玲編:人工呼吸管理実践ガイド.照林社,東京,2009.
  • (2)丸山一男:人工呼吸の考えかた.南江堂,東京,2009.
  • (3)清水敬樹編:ICU実践ハンドブック―病態ごとの治療・管理の進め方.羊土社,東京,2009.
  • (4)安本和正,小谷透編:人工呼吸療法における30の謎.克誠堂出版,東京,2008.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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