声を聴診する特殊な口腔聴診

 

聴診器を使用する際のコツや、疾患ごとの聴診音のポイントについて、呼吸器内科専門医が解説している『聴診スキル講座』ですが、ここでちょっと一息。
ここでは、本編とは別に、聴診に関する豆知識やグッズを紹介します。

 

コラムの第3話は、「声を聴診する特殊な口腔聴診」の解説です。

 

皿谷 健
(杏林大学医学部付属病院呼吸器内科臨床教授)

 

〈目次〉

 

聴診は声でもできる

通常、聴診を行う際は、患者さんの身体に直接、聴診器を当てます。しかし、聴診器を身体に当てない「口腔聴診」と呼ばれる方法があることをご存知でしょうか?

 

これは、図1のように、聴診器を口にかざし、患者さんに声を出してもらい、その音を判断する技法です。

 

図1口腔聴診の行い方

 

口腔聴診の行い方

 

声と一緒に、「プツプツ」という水泡音が聴こえることがあります。

 

健康なヒトであれば、変わった音は聴こえませんが、例えば、身体に聴診器を当てた際に水泡音が聴こえる患者さん(気管支拡張症など)では、口腔聴診で「プツプツ」という音が聴こえることがあります。身体に聴診器を当てることが難しい患者さんや、嫌がる患者さんの場合に、試してみるのもよいかもしれません。

 

ただし、この口腔聴診は、水泡音が聴こえる患者さんのみに有効な技法です。捻髪音が聴こえる患者さんでは、口腔聴診で捻髪音が聴こえることは決してありませんので、注意してください。

 

口腔聴診は、気管支拡張症など、水泡音が聴こえる患者さんに有効な聴診スキルです。
機会があれば、トライしてみると良いでしょう。

 

 


[執筆者]
皿谷 健
杏林大学医学部付属病院呼吸器内科臨床教授

 

[監 修](50音順)
喜舎場朝雄
沖縄県立中部病院呼吸器内科部長
工藤翔二
公益財団法人結核予防会理事長、日本医科大学名誉教授、肺音(呼吸音)研究会会長
滝澤 始
杏林大学医学部付属病院呼吸器内科教授

 


Illustration:田中博志

 


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