静脈血はなぜ逆流しないの?
看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「静脈」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
静脈血はなぜ逆流しないの?
動脈血は心臓の収縮によって押し出されますので、末梢にまで容易に到達します。
しかし、静脈血は心臓のような強力なポンプ作用の援助を受けませんので、心臓に戻るまでの間に逆流を防ぐシステムが必要になってきます。この逆流防止システムが、静脈弁です(図1)。
図1静脈弁の働き
静脈血は胸郭内や右心房が陰圧になることで心臓に流れ込みます。しかし、手足が運動をしているときは遠心力が働き、血液が逆流しやすくなります。そのため、手足の末梢部に多くの静脈弁が存在し、静脈血の逆流を防いでいます。
また、運動時には骨格筋が収縮して筋ポンプの役割を果たし、血流を押し流します。その時、静脈弁が開閉することで血液の還流をさらに促します。
※編集部注※
当記事は、2016年6月24日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版