動脈と静脈の構造はどうして違うの?
看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「動脈と静脈の構造の違い」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
動脈と静脈の構造はどうして違うの?
毛細血管を除く血管は、内膜(ないまく)、中膜(ちゅうまく)、外膜(がいまく)の3層から構成されていますが、動脈と静脈ではその構造に違いがあります。
動脈は、心臓から出た血液を末梢にまで運ぶ役割を果たしており、常に拍動性の血流と血圧に暴路されています。そのため、動脈の中膜は平滑筋と弾性線維によって厚みがあり、伸縮性と弾力性があります。また、血管内部の圧が減っても丸い形が保てるようになっています。
これに対して静脈では、毛細血管を通過した血液が常に一定の量と速度で、後から来る血液に押されて流れます。静脈は血管が伸縮する必要がないため、中膜の平滑筋が少なく、弾力性に乏しいのが特徴です。血管壁は薄く、皮膚の表面にある静脈は指で圧迫することで血流を止めることができます(図1)。
図1動脈と静脈の構造(再掲)
※編集部注※
当記事は、2016年6月20日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版