肺循環と体循環の違いは?

看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

[前回]

循環とはなんだろう?

 

今回は「肺循環と体循環」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

肺循環と体循環の違いは?

全身を巡ってきた静脈血は、右心室から肺動脈に流れ込み、2方向に分かれて肺門から左右の肺に流入します。肺で二酸化炭素を体外に排出し、酸素を受け取ると、動脈血へと生まれ変わります。

 

こうして酸素を豊富に含んだ動脈血は、肺静脈に入り、左心房に注ぎ込まれます(図1)。

 

このように右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房という経路で行われる循環を肺循環といいます。

 

図1体循環と肺循環

体循環と肺循環

 

一方、左心室→大動脈→全身の器官・組織→上大静脈・下大静脈→右心房という経路で全身を巡っているのが体循環(たいじゅんかん)です。

 

左心室から出た大動脈は何本もの動脈枝を出し、その動脈枝がさらに枝分かれして全身に血液を送ります。

 

循環器は呼吸器と密接に関係していて、肺循環も体循環もガス交換を行っています。

 

肺循環では、呼吸運動によって得られた空気から酸素を受け取り、二酸化炭素を受け渡しています。これを外呼吸(がいこきゅう)といいます。

 

一方、体循環では、細胞に酸素を渡し、活動によって出た二酸化炭素を受け取っています。これを内呼吸(ないこきゅう)といいます(「ガス交換ってどんなもの?」参照)。

 

MEMO肺循環と体循環に要する時間

肺循環に要する時間は約3~4秒、体循環に要する時間は約20秒です。

MEMO左心系と右心系

左心房、左心室を左心系(さしんけい)、右心房、右心室を右心系(うしんけい)といいます。

 

※編集部注※

当記事は、2016年5月13日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

心臓はどのようにして血液を送り出しているの?

 

⇒〔解剖生理Q&A記事一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ