循環とはなんだろう?
看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
[前回]
今回は「循環」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
循環とは何だろう?
生命活動を行うために必要な酸素、栄養素、ホルモンなどが細胞や組織に運ばれ、再び元に戻ってくることを循環といいます。
いわば体内の物流システムともいうべき循環にかかわるのは、心臓、血管、リンパ管です。この循環には、肺循環と体循環の2つの経路があります。
心臓から出て行く血管を動脈、心臓に戻ってくる血管を静脈といいます(図1)。
図1動脈と静脈の構造
また酸素を多く含んだ血液を動脈血、酸素が少なく二酸化炭素を多く含んだ血液を静脈血といいます。
心臓は循環のおおもとで、ポンプの働きをしています。全身の循環は、心臓から大動脈へ血液が送られることから始まります。道路に例えると幹線道路です。
体循環(たいじゅんかん)では大動脈は枝分かれを繰り返し、次第に細くなっていき最終的に毛細血管となります。毛細血管は、住宅密集地の細い路地のように細胞の一つひとつにつながっており、毛細血管の血液から染み出した細胞は組織間液(そしきかんえき)と細胞内液(さいぼうないえき)が相互に移動することで、物質の交換を行っています。
酸素や栄養を細胞に渡し、二酸化炭素や老廃物を積み込んだ毛細血管は、まとまりながら次第に太い血管になり、心臓へと戻っていきます。心臓に戻る静脈血が流れる大静脈も、大動脈と同様に幹線道路と考えられます。すなわち、心臓→動脈→毛細血管→静脈→心臓ということになり、この経路で体内の循環が繰り返されます。
※編集部注※
当記事は、2016年5月9日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版