呼吸音にはどのような意味があるの?|呼吸器に関するQ&A(5)

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

[前回]

気道にはどんな働きがあるの?

 

今回は「呼吸」に関するQ&Aの5回目です。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

〈目次〉

 

呼吸音にはどのような意味があるの?

呼吸をしているときにヒューヒュー、ゼーゼーなどの音がすることがありますが、これを喘鳴(ぜんめい)といいます。

 

喘鳴は、①気管支の粘膜に浮腫や炎症が生じる、②分泌液が増える、③気管支壁の平滑筋に攣縮が起きるなどが原因で、気管支の内径が狭くなることによって生じます。

 

吸息では気管支の内径が広がるため、あまり喘鳴はしませんが、呼息のときには内径が狭くなるので、呼息と共鳴して喘鳴が発生し、また呼息時間が延長します。

 

汚染された空気やたばこの煙を吸入すると、生体は、汚染物質を体内に吸い込まないように防御反応を起こします。そのため気道が狭くなり、込みます。また完全に閉塞しなくても、狭くなった気道に空気が通りますので、喘鳴が起きることになります。

 

また、肺循環が円滑に行われなくなると、呼息(こそく)時、吸息(きゅうそく)時ともに喘鳴が生じることがあります。

 

呼吸運動を調節しているのはどこ?

運動をして酸素の消費量が増えた場合を考えてみましょう。生体は無意識のうちに大量の酸素を取り込もうとします。その結果、呼吸は速くなります。

 

一方、心臓も拍動を速め、酸素を組織に送り込むように働きます。このように、胸郭の吹子(ふいご)運動と心臓のピストン運動が協力して働くため、運動直後は呼吸が速くなり、胸がドキドキしてくるのです。

 

それでは、こうした動きを調節しているのは身体のどこでしょう。

 

運動によって多くの酸素が消費されれば、二酸化炭素の産生も高まります。すると、血液中の二酸化炭素分圧(PCO2)が上昇して脳脊髄液のpH濃度が高くなり、脳(延髄<えんずい>)の呼吸中枢が刺激されます。その結果、呼吸運動が速くなり、換気が増すことになるのです。

 

運動時だけでなく、発熱時にも呼吸が速くなります。これは、発熱(血液の温度の上昇)が呼吸中枢を刺激し、その結果、呼吸運動が活性化されるためです。

 

※編集部注※

当記事は、2016年4月25日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

ガス交換ってどんなもの?

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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