異化作用ってどういうこと?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「異化作用」に関するQ&Aです。
[前回]
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
異化作用ってどういうこと?
同化作用とは逆に、自身の身体の成分を分解して異なる物質に変える過程を異化作用といいます。
グリコーゲンや中性脂肪など、高分子の物質を低分子の物質に分解することにより、最終的にエネルギーが放出されます。
この分解の際には、アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate;ATP)という化学物質が産生され、これがエネルギー源となります。
ATPはいわば蓄電池のようなもので、水と反応することで、端にあるリン酸分子が1つだけ結合から外れます。こうしてできたものがADP(アデノシン二リン酸)です。この反応の過程でエネルギーがつくられます。運動するときや、体内の細胞が活動するときのエネルギー源は、このようにつくられています。
異化作用が起こると二酸化炭素という不要物が生じます。二酸化炭素は内呼吸で細胞外に排出され、肺の外呼吸によって体外に排出されます。この一連の反応は、次の式で表せます。
MEMOATP(アデノシン三リン酸)
アデノシンにリン酸基が3つ結合した化合物。エネルギーをつくり出す源で、エネルギー通貨の役割を果たします。
※編集部注※
当記事は、2017年1月19日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版