発熱時のクーリングのポイントは?
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『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は発熱時のクーリングについて解説します。
江口正信
公立福生病院診療部部長
〈目次〉
発熱を知るためには
発熱を知るためには、平熱や日内変動〔1℃以内程度の日内変動があり、午前2〜6時ごろが最も低く、午後から夕方(午後3〜8時)にかけて高い状態になる〕を知っておくことが必要です。
また、日内変動が1℃以上ある場合、平熱との差がどの程度なのかを知っておくことも必要です。
患者の高体温は、うつ熱か発熱か病的高熱であるのかをアセスメントし、体温上昇に伴う随伴症状の有無も把握します。
熱型の種類
熱型には、稽留熱、弛張熱(急変になる可能性)、間欠熱、波状熱、周期熱があります(図2)。
近年、抗生物質の与薬により、熱型がみられないこともあります。また、解熱には分利と渙散(換散・かんさん)とよばれる体温が下がっていく2つの方があります。
うつ熱
熱中症のように熱の流入・産生により熱放散が小さくなり、体内に熱がこもった状態です。
クーリング
クーリングは、「安楽」「鎮痛や止血」「体温の低下」を目的としています。発熱時はセットポイントに達したら、まずは熱の放散を妨げないように布団を剥ぐなど、熱がこもらないように調節します。それから、患者の不快感を解消する安楽や安静のためであれば、看護者の判断で冷罨法を行います。
熱中症や脳血血管障害による体温調節機構の障害では、セットポイント(基準値)の上昇がないため、解熱剤は効果がありません。クーリングによる熱の放散が必要です。42℃を超えると生命の危機状態になることもあります。
体温を下げる目的の治療としてのクーリングは、体表面の近くを通っている動脈がある頚部や腋窩、鼠径部へ氷嚢や冷湿布などを適切に当てます。
体温低下を目的としたクーリングの効果と危険性を正しく理解したうえで、体温低下を目的としたクーリングは医師の指示のもと実施しましょう。
現在、体表クーリングの有効性がわかっているのは、「体温調節機構が病的に障害されている場合」または「深い鎮静や筋弛緩薬を使った全身麻酔で抑制されている場合」のみです。それ以外の場合でのクーリングは、寒冷反応(寒気、ふるえ、立毛筋収縮、末梢冷感、チアノーゼ)を引き起こして、酸素消費量を増大させるリスクがあることを覚えておきましょう。
また、背部のクーリングは、広範囲を冷やすことができますが、体表面近くに太い血管も走行していないため解熱効果は少なく、自力で体位変換ができない患者に用いられると凍傷などのリスクが懸念されています。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版