消毒用綿球を渡すとき、相手の鑷子より高い位置で渡すのはなぜ？
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は消毒用綿球に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
消毒用綿球を渡すとき、相手の鑷子より高い位置で渡すのはなぜ？
受け取る側が綿球の下部をつかむことで、不潔になる可能性を避け、清潔を保持するためです。
消毒用綿球の受け渡し
消毒用綿球を使用する際は、ディスポーザブル容器（消毒薬含有綿球入り）の有効期限と内容物を確認したのち、綿球の上端をつかんで取り出します。
このとき、把持している綿球を水平より上に持ち上げてはいけません。なぜならば、綿球に含まれている消毒薬が鑷子の上部や先端部をを行き来して、不潔になる可能性があるからです。
綿球を受け取る側の鑷子は患者の創傷部位に直接接する可能性もあり、不潔物として扱う必要があります。無菌操作では、滅菌物の上での操作をしないという原則があります。
したがって、綿球を受け取る場合、渡す側がつかんでいる綿球の下をもちます。このとき、相手側の鑷子に触れないようにします（図１）
綿球の管理
万能つぼを使用した消毒薬が含まれた綿球の管理では、消毒薬が揮発して綿球が乾燥し消毒効果が得られなかったり、低水準の消毒薬を使用した場合、セラチア菌や緑膿菌などによる汚染などの感染リスクがあります。
現在では、綿球入りの滅菌パックに消毒薬を注いで使用する方法や、はじめから消毒薬が含有されている綿球パックの使用、さらには消毒薬が含まれている綿棒が使用されるようになってきています。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
［出典］ 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 （編著）江口正信／2015年3月刊行／ サイオ出版
SNSシェア
