滅菌手袋を装着する際にも衛生的手洗いを行うのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は衛生的手洗いと滅菌手袋に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
滅菌手袋を装着する際にも衛生的手洗いを行うのはなぜ?
手袋を装着する際に滅菌手袋が汚染されたり、微生物が通過してしまう可能性があるためです。
〈目次〉
手袋装着の意味とは
スタンダード・プリコーションでは、血液や体液、分泌物などに接触する場合に手袋を着用し、処置後手袋を取った後、手指衛生することを推奨しています。さらに、血液などが飛散する恐れのある場合にはガウンやマスクも着用します。
なかでも侵襲的な処置を行う際には、衛生的手洗いを行った後、手袋を着用します。外科的処置や中心静脈カテーテルの挿入など無菌操作を行う場合には、滅菌手袋を着用します。
滅菌手袋の装着時の手洗いの意味とは
滅菌手袋を着用する前に衛生的手洗いを行うということは、手袋を着用する際により手袋が汚染されることを防ぐためです。また、使用後の手袋では、ビニール手袋で4.1%、ラテックス手袋で2.7%に目に見えるピンホールが生じていたとの報告もあります*。
衛生的手洗いをしていない場合、このピンホールから病原微生物が通過し、汚染の危険性が生じます。
滅菌手袋を装着する方法は、まず衛生的手洗いを行い、ペーパータオルで十分に水分を拭き取り、滅菌手袋のサイズや使用期限、破損・浸潤の有無を確認をします。そのうえで、図1の手順によって装着します。
*Korniewicz DM, Laughon BE, Butz A, Larson E.:Integrity of vinyl and latex procedures gloves. Nurs Res 1989; 38:144-146.
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版