注射法にはいろいろな方法があるけれど、その薬効はどう違うの?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は注射法に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

注射法にはいろいろな方法があるけれど、その薬効はどう違うの?

 

注射法による薬効として、吸収速度は、①静脈内注射>②筋肉内注射>③皮下注射>④皮内注射の順となり、薬物の持続性の長さは、①皮内注射>②皮下注射>③筋肉内注射>④静脈内注射の順です。

 

〈目次〉

 

注射法による薬効の違いは

注射法による薬効の差は、それぞれの注射法による薬物の吸収速度や持続性の違いによります。これは注射部位が異なることによって血管内への吸収の違いがあるからです。

 

静脈内注射の薬効

血管内に直接注射する静脈内注射が最も速効性であるのは当然ですが、逆に薬物の代謝も最も早く行なわれます。したがって、持続性という点では最も短くなります。また血中薬物濃度が急激に上がりますから、副作用の発現する可能性も高く、生命に危険性のある副作用を生ずることもあります。

 

筋肉内注射の薬効

筋肉内注射は、血管が豊富に分布する筋肉内に注射するわけですから、薬物の吸収も皮下注射の約2倍の速さで行なわれます。しかし、末梢血管から吸収されて大循環系に移行するため、静脈内注射と比較すると、速効性という点でははるかに劣ります。

 

皮下注射の薬効

皮下注射は静脈内注射、筋肉内注射と比較し、吸収性では最も劣りますが、安全性、持続性という点では最も優れていると考えられます。しかし、等張液、非粘稠性、溶解性、非刺激性の薬液以外は注射することができず、刺激性のある薬液は筋肉内注射が適しています。

 

また、薬液量も通常0.1~2mLまでに制限されます。そのほか、同程度の薬効を得るために必要な量(薬物濃度)は、静脈内注射が最も少なくてよく、以下筋肉内注射、皮下注射の順に量も多くなります。

 

なお、皮内注射は薬液を注入することによって治療効果を得るというよりは、通常ツベルクリン反応やアレルゲン検出などの皮膚反応を確認するために行なわれるものです。

 

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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