酸素吸入を行なっているときは、火気厳禁とするのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は酸素吸入に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
酸素吸入を行なっているときは、火気厳禁とするのはなぜ?
酸素は熱によって膨張し、わずかな火気でも燃焼しやすく、可燃性ガスと混合すると燃焼・爆発を起こしやすいからです。
〈目次〉
酸素の性質は
酸素は無色・無味・無臭の気体で、酸素自体は燃えませんが、熱によって膨張し、他のものを燃えさせる助燃性ガス(支燃性ガス)であり、わずかな火気でも燃焼します。また、可燃性ガスと混合すると燃焼・爆発を起こしやすい性質をもっています。
カイロや電気毛布、ヘアドライヤーなどの発熱する物品を近づけたり、静電気を生じやすいものの使用を避けるようにしましょう。
注意する点
酸素吸入をしている患者さんや家族に、火気の使用は熱傷や火災の原因になる恐れがあることを伝え、火気厳禁を十分に説明しておきましょう。
濃縮酸素装置などの使用中は、装置の周囲2m以内では、喫煙や火気を取り扱いをしないように、周囲の協力を得ましょう。
非侵襲的陽圧換気とは
非侵襲的陽圧換気(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation)とは、気管内挿管や気管切開よりも身体に負担をかけることなく、マスクを用いて鼻や口をおおい、そこから気道に陽圧をかけることによって換気を行う方法です(図1)。
非侵襲的陽圧換気の適応と禁忌
原則として人工呼吸が必要な状態や疾患があり、禁忌事項が当てはまらなければ適応となります。主な疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性憎悪、Ⅱ型呼吸不全、心原性肺水腫などです。
また、気道確保できない場合や心停止など自発呼吸がない状態、大量の気道分泌物があったり、昏睡や意識状態が悪い場合などでは、使用は禁忌となります。
使い方のポイント
- 患者さんの協力が不可欠であるため、ときに、導入直後は機器と呼吸が合わず息苦しさを感じることや、フルフェイスマスクでは圧迫感があることなど、事前に患者と家族に十分な説明を行い、不安を取り除きましょう。
- 患者さんごとに鼻の高さや顔の大きさに合わせて適切なマスクを選択します。
- 装着の際、ストラップをきつく閉め過ぎないように気をつけます。
- マスクによって締める手順や締め方が異なるため、マスクの特徴により使い分けます。
- マスクとの接触部分やその周辺に皮膚トラブルが起こりやすいので、正しいフィッティング、全身・皮膚状態の管理を行います。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版