膀胱に尿がたまると尿意をもよおすのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は尿意に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
膀胱に尿がたまると尿意をもよおすのはなぜ?
膀胱内に尿がたまると、膀胱内圧が上昇するためです。
〈目次〉
尿意を感じる膀胱内圧は
腎臓でつくられた尿は、尿管を通って膀胱内へ送られますが、膀胱内に尿がたまると膀胱内圧が上昇します。この膀胱内圧は階段式に上昇するといわれ、膀胱内に少量の尿が貯留している段階では、膀胱壁の弛緩による内腔の拡張により、ほとんど膀胱内の上昇はみられません。
しかし、次第に量が多くなると内圧の上昇がみられ、内圧が15~20cmH2Oに達すると、尿意を感じるようになります(図1参照)。
尿意を感じる膀胱容量は
一般に正常人の膀胱容量は500mL前後ですが、尿意を我慢して1日の排尿回数が少ない人では膀胱容量は1,000mL前後となります。とくに病的な状態では、最高4,000mLもの尿を貯留することが可能といわれています。
膀胱内にある程度尿が貯留され、前述の膀胱内圧が15~20cmH2Oとなり、はじめて感じる尿意を初発尿意とよびます。個人差や環境などによって変わりますが、おおよそ200~250mLの尿量が膀胱内に貯留としている状態と考えられています。また、最大膀胱容量まで我慢したときの尿意を最大尿意とよんでいます。
正常人の尿意発現は、膀胱内圧の上昇が関与していますが、ほかに膀胱炎などによる壁への炎症性刺激や、膀胱結石による物理的刺激、精神的な不安定状態では、少量の尿貯留であっても尿意を感じることがあります。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版