夜間はあまり尿意をもよおさないのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は睡眠中の尿意に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
夜間はあまり尿意をもよおさないのはなぜ?
夜間、睡眠中は膀胱が弛緩し、内腔が拡張しやすく、内圧の上昇が緩やかであるためです。
〈目次〉
睡眠中の膀胱は
尿意は膀胱内圧の上昇によって起こるものですが、睡眠中は膀胱壁を構成する平滑筋が弛緩状態となり、膀胱の内腔をかなりまで拡張することが可能です。
そのため、相当大量の尿が貯留しても、膀胱内圧の上昇が緩やかであるため、尿意を起こさないですむことができます。
睡眠中に尿意を感じる感覚は
また、尿意は大脳皮質に起こる感覚ですが、睡眠中は大脳の活動も低下し、覚醒時と比較すると尿意を感ずる感覚自体も低下している状態と考えられます。
逆に、いわゆる眠りが浅い状態では、覚醒時に近い大脳皮質の働きも起こり、尿意を感じやすくなります。明け方に尿意を感じて目を覚ますことがあるのは、尿の貯留がある程度増量して、膀胱内圧の上昇が起こっているのと、大脳の働きがやや活発になり始めているためと考えられます。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版