血圧測定の際に、測定部位を心臓と同じ高さになるようにするのはなぜ?

 

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は血圧測定の部位に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

測定部位を心臓と同じ高さになるようにするのはなぜ?

 

血圧は心臓の高さで測定することが原則で、心臓より高かったり、低かったりすると、正確な値が得られないためです。

 

〈目次〉

 

測定部位の高さによる血圧値の違いは

測定しようとする部位の血管の位置が心臓より高い場合、重力による血管内の静水圧の圧差だけ血圧は低くなります。逆に、低い場合には、血管内の静水圧の圧差だけ高くなります。

 

血圧を心臓の高さで測定できない場合は

血圧は、水銀柱の高さで測定しており、mmHg(ミリメートルエイチジー)の単位で表しています。水銀は水の13.6倍の重さであり、水と血液の比重がほとんど等しいと考えると、心臓の高さから1cm上下した場合の圧差(x)は、下記の通りです。

 

xmmHg×13.6÷10=1(cmH2O)
x≒0.7(mmHg)

 

以上の結果より、心臓の高さで測定できない場合には、心臓の高さから1cm上下するごとに、0.7mmHg加減すれば、比較的正確な値が得られることになります。

 

静水力学的圧力

大きな水槽内の水の圧力は、その表面では大気圧と等しいが、表面下13.6mmごとに1mmHgずつ圧力が増加している。この圧の増加は水の重さによるもので、この圧力を静水力学的圧力といい、人体の血管内の血圧にもこれと同じ関係が成立する。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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