循環器系のしくみと働き|循環
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。
[前回の内容]
今回は、循環器系のしくみと働きについて解説します。
片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授
Summary
〈目次〉
はじめに
血液およびリンパ液を体中組織に供給するための器官系を循環器系という。特に臨床では、心臓および血管系を循環器とよぶことが多い。
循環器系は運搬系であり、血液(運送トラックに相当)が酸素や二酸化炭素、代謝産物、熱、ホルモン等を運搬する役目を果たし、血液は、導管(道路に相当)ともいうべき血管系の回路の中を心臓のポンプ作用によって流動する。リンパ液の循環を担うものをリンパ系という。
体循環と肺循環
血液循環回路には2つの系統(体循環と肺循環)がある。
体循環(大循環)〔 major or systemic circulation 〕
体循環は、全身に血液を供給する左心室から右心房までの回路である。体循環経路は、左心室→動脈→細動脈→毛細血管→細静脈→静脈→右心房であり、左心室から動脈血を全身の組織に送り、静脈血を心臓の右心房に返す経路である。
毛細血管は物質交換の場であり、ここで組織に酸素や栄養素を渡し、二酸化炭素や代謝産物(老廃物)を受け取る。大循環ともいい、循環時間は50~60秒である。
肺循環(小循環)〔 lesser or pulmonary circulation 〕
肺循環経路は、右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房である。右心室から静脈血を肺に送り、動脈血になり、左心房に送る回路である。肺で二酸化炭素を排出し、代わりに酸素を取り入れるもので、小循環ともいう。循環時間は約4秒である。
肺動脈には脱酸素化された(酸素に乏しい)血液が流れ、肺静脈には酸素化された(酸素に富む)血液が流れる。
[次回]
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版