ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~【3-1】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本3巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

転職先の介護施設で、厳しい現実を目の当たりにした花
訪問看護ステーションの師長に「戻りたい」と相談すると、別の介護施設での研修を提案され…

 

ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語~

 

主人公は看護師3年目の木野花。前職の介護施設で、利用者さんに暴力ふるってる現場を目撃したのがトラウマで介護業界に恐怖を抱いています。介護士さんもいい人だっているっていうのはわかっていながらも、正直偏見強いと感じています。そんな花に訪問看護時代の師長が…「修業してこい!!」と言いました。

 

(出たよ得意の修業!!師長ってすぐ外で勉強させたがるんだから)…と言いたいところをぐっとこらえて、師長オススメの施設へやってきたのでした。「こんにちは、はじめまして。師長の太田です。どうぞ、かけてかけて。介護施設で嫌な体験をしたそうねー。」と優しそうな師長が迎え入れてくれました。

 

「はい…利用者さんをはたいてるところを見ちゃって…。」と説明する花に、師長は共感しながら「ひどいわねー。虐待よね。犯罪だわー。でもあるのよ未だに…この業界。私がナースになった当時はもっとヒドかったわ。患者さんを殴る人暴力をはく人…からかって遊ぶ人…本当にいたのよ…。ひどい人は性的な暴力をふるう人もいたわ。患者さんにとっては地獄だったでしょうね。」と言いました。

 

「精神科の患者さんやひどい認知症の方は、家族がみれないから長期入院している人が多いので逃げられないのよねー。20代の私がいくら止めても限界があって、私も逃げて普通の病院に勤め始めたの。でもね…、患者さんのこと見捨てたことになるなと思って。」と経験を話してくれました。「も…戻ったんですか!?」と驚く花に「ううん、病院は戻れなかったの…私を受け入れてもらえなくて…。でも…それで人を育てようと思ったの。足りないのは教育だ!!と」と思いを伝えました。

 

そう言われても(教育かあ…。正直 教育であの人達を矯正できるのかな?)と半信半疑な花。すぐに職場のスタッフ、石原さんを紹介され、研修期間中を一緒に過ごすことになりました。(この人も感じいい人だなー。でも前の施設でそう思ってた人にヒドイ目に遭わされたから…気が抜けない…。)と身構えていると、石原さんは「今日は実は…お看取りの方がいらっしゃるんです。」と言いました。

 

「介護施設でも看取りってできるんですか?」と花は驚きました。石原さんは、「もちろん。ここは介護小規模多機能型の施設なのでナースは常駐してるし、別にそうではない施設でもお看取りはしてますよ?最近は施設でのお看取り増えてますと」と答えました。納得した花でしたが「うーんでも…私は自宅のお看取りばかりみてきたので、施設のお看取りは知らないんです。」と正直に答えました。

 

石原さんは、笑顔で「施設でのお看取りもいいですよ。スタッフがその人の最後に向けて何がいいのか、知恵を出し合って迎える最後って私はいつも感動します。」と花に言いました。そして利用者さんの写真を見せながら「例えばこの方、英一さん。お酒が大好きな方だったんですけど、癌で食べられなくなってでも最後の最後までスプーンでちょっとだけお酒をのんでもらったりしました。」

 

「また ある時はお風呂の大好きなおばあちゃんがいて、その方に最後のお風呂入れてあげたいって言われて…アンビューしながら入れたり…血圧低くて意識がなくても入れます。」と言いました。アンビューしながらのお風呂は入れたことがなくびっくりする花。そんな様子を感じながら石原さんは「だって最後ですから…。その人の最後を飾ってあげたいんです。」と優しく言いました。そんな石原さんをみて(先輩達みたいだ…。凛として一筋の芯がしっかり通ってるような。)と先輩たちを思い浮かべました。

 

利用者さんのアルバムを見ながら、(師長の言っていた通り。職業は関係ない。その人の人となりの問題で…ナースだろうがヘルパーだろうが、要はどれだけ相手のことを思ってケアできるか…なんだ。)と痛感しました。石原さんは、「今…お看取りの方、近藤さんなんですけどね。全身に転移のある方で、もう意識がないんですけど…耳元で童謡を流してて…」と説明しました。「童謡がお好きなんですか?」と質問する花に「わからないんですけど…保育士さんを長くやられた方だと聞いて。幼稚園の園長もされてたそうなんです」と説明しました。

 

石原さんの感性に驚きつつ、(この方が初対面でもこの音楽から背景が浮かび上がってくる…。きっと園児さん達と一緒にいっぱいいっぱい歌を唄ったんだろうなぁー。)と涙が浮かびました。さらに石原さんは、「すみ代さんはお茶が大好きだったそうなんです…。それでこういう濃い目のお茶で時々 口を湿らせてあげるんですよ。朝昼夕 寝る前に入れたてのあついお茶をこうして入れておくんです。香りがするでしょう?湯気もほっこりしませんか?食事はおろかもちろん水分もとれなくても、最後までこの人らしくって考えてやってるんですよ。」というのでした。

 

きめ細やかな配慮に感動しながら、「家族とかでそういうことをされているのはよく見ますけど…よく気づきますね…。」とつぶやきました。すると石原さんは笑顔で、「あ 家族だと思ってます。と…いうより家族だったらどうしてあげたいかなって考えます…。」と答えるのでした。ハッとする花。「家族だったらわかるけど…。それを毎回やってるとしんどくないですか?」と質問します。

 

すると、石原さんは、「うーん…でも私達介護士は、主にその方の生活をみるので、
日常生活の援助をしてると気が付きやすいと思います。看護師さんは体のこともみるので医療的な視点でのケアが多くなりますけど。」と答えました。花は、前職の介護施設で介護士が「看護師は血圧と熱測っておしまい、あと薬の管理ぐらいしかやらないくせにいばってる。」と言っていたのを思い出し、耳が痛くなりました。その後も、石原さんは、患者さんにタメ口とかもちろんなければ、なれなれしい態度もなく。一日が穏やかに過ぎていくのででした。

 

【2】に続く

 

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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