専門病院、クリニックで働く

専門病院・クリニックは分娩数が多く、助産師主体でお産の計画を立てられる産科専門施設。ベッド数によって呼び方が変わるものの、医療レベルにあまり差はありません。

特徴としては「お産周りのケアに幅広く、かつ深く関わることができる」「妊産婦の希望に沿わせたお産の組み立てができる」「アクティブバースやソフロロジーといった、特色ある分娩を行う施設が多い」などが挙げられます。

助産師の総数が少ないために、他病院と比べて看護師との連携が強い点も特徴。少数精鋭のチームを組み、妊産婦の産前から産後まで全てのケアを行います。ハイリスクなお産はとらないものの、ハイリスクに至るまでは助産師が主体となってケアを行うため、臨機応変な対応力と、ある程度の経験値が必要です。

ある程度の経験があるうえで、今後更に取り上げる数を増やしていきたいという方や、自分が主導となってお産をサポートしたいという方に向いている職場です。

Q. 分娩件数が多いところが多く、専門病院やクリニックは忙しいイメージです。忙しい職場かどうか判断できる指標はありますか?

A. 年間の分娩件数、常勤医師の数、常勤助産師の数を確認すると良いでしょう。

専門病院・クリニックの分娩件数は、たしかに総合病院や周産期母子センターよりも多い傾向があります。ただ、単純に分娩件数が多いから忙しいとは言えません。分娩件数を常勤助産師の数で割り、一人の助産師が1年に何件取り上げているのかを忙しさの指標としましょう。

また、常勤医が少ない場合はオンコールの頻度が高まる傾向に。あわせて確認しておくと良いでしょう。

Q. 専門病院やクリニックを選ぶ際、気をつけるべきポイントは?

A. 院長先生の方針・考え方に共感できるかどうかを確認しましょう。

専門病院やクリニックといった、医師・助産師の数が少ない職場では特に、院長先生のこだわりが強く反映されます。推奨している取り上げ方や、使う設備・器具ひとつをとっても施設ごとに特色が。これらの職場に入職を考えている人は、面接時にしっかりと方針や考えのすり合わせを行うことが重要です。

Q. ベテランでないと、雇ってもらえないのでしょうか?

A. 大体200~300の取り上げを経験してからの転職をオススメします。

専門病院やクリニックでは助産師の介入頻度が非常に高くなるため、お産のあらゆる場面で判断を仰がれることが多くなります。上で書いたように、緊急搬送の判断を助産師が下す場合も。

若手や新人助産師を受け入れる体制がある病院・クリニックもありますが、入職後も自信を持って働き続けるためにも、一通りのお産を経験してからの転職をおすすめしています。

今働いている職場では取り上げ件数を増やすことができないという方は、一度教育体制が整っている総合病院で経験を積んでから、クリニックや専門病院に挑戦すると良いでしょう。

Q. アクティブバース、ソフロロジーとは具体的にどんな分娩方法なのですか?

A. どちらも、妊産婦が安心して出産に臨むことを大事にした分娩方法です。

アクティブバースとは医療行為を最小限に抑えることで、できるだけ自然に近い形で出産へと導く分娩方法です。妊産婦の負担を軽減できる効果があるとされ、水中分娩やフリースタイルなどもこのアクティブバースに分類されます。

ソフロロジーとは、妊産婦の精神を安定させた状態での通常分娩法です。麻酔などを使わず、音楽やアロマ、呼吸法などを活用することで妊産婦のリラックス状態を生み出し、陣痛の過度な痛みなどを軽減することができるといわれています。

アクティブバースもソフロロジーも、いかに母体が楽に出産を迎えられるかという点を重視した分娩方法です。近年では「一人ひとりの母体に合った、多様性のあるお産を」という考え方が増えているため、こうした分娩方法に特化した専門病院・クリニックが増加している傾向にあります。興味がある方は、一度面接で詳しい話を聞いてみると良いでしょう。