挨拶・振る舞い・身だしなみ 訪問看護のマナー全集
利用者さんのご自宅に伺う訪問看護。
訪問先で失礼のないよう、訪問看護師が知っておきたいマナーをご紹介します。
目次
訪問看護の挨拶・言葉遣いマナー
自己紹介は笑顔で、はっきりと
初めて利用者さん・ご家族にお会いするときは、「○○訪問看護ステーションから参りました、看護師の●●と申します。よろしくお願いいたします」と自己紹介をします。
笑顔で、丁寧に、はっきりした声でご挨拶しましょう。
名刺は両手で渡す
訪問看護師は、名刺をお渡しして利用者さん・ご家族にご挨拶します。
名刺は両手でお渡しするのがマナーです。
Point!
- 名刺を取り出し、名刺入れの上に持つ
- 相手が読める向きで名前の文字が隠れないように持つ
- 両手でお渡しする
利用者さんが横になっているときは、自分の肩の前くらいの位置に両手で持ち、名刺の文字が見えるようにしてからお渡しします。
言葉遣いはもちろん敬語で
訪問先での言葉遣いは、もちろん敬語です。丁寧な口調でお話しします。
訪問を重ねていくうちに親しい話し方になることもあると思いますが、適切な距離感を守り、敬意を込めた言葉遣いが基本です。
訪問先での振る舞いのマナー
上着は玄関先で脱ぐ
利用者さんのご自宅に着いたら「玄関のインターホンを鳴らす前」に、上着を脱ぎます。
脱いだ上着は、内側が表になるようにたたみ、利き手と反対側の腕にかけて持ちます。
訪問が終了して退出するときも、上着は、玄関ドアを閉めてから羽織ります。「寒いから中で着て行って」と利用者さんにお声がけいただいたら、お言葉に甘えましょう。
雨の日対策を忘れずに
雨の日は、濡れたレインコートや雨具を入れるための大きめのビニール袋を用意しておきましょう。
玄関先で脱いで袋に入れてから、玄関に入ります。ビショビショのレインコートを持ち込んで家の中を濡らしたり、汚したりしないように配慮するのがマナーです。
靴は前向きで脱ぎ、玄関の下座に置く
靴は、前を向いたまま脱いでご自宅に上がり、その後、靴のつま先が玄関の扉を向くようにそろえます。
家の中に背中を向けて靴を脱ぎ、後ろ向きで入るのはマナー違反です。
靴をそろえるときも、くるっと背中を向けるのではなく、少し斜めに身体を向けましょう。
玄関にも上座と下座があります。脱いだ靴は、下座に寄せて置きましょう。
Point!
玄関の「下座」ってどっち?
1靴箱がある場合
- 花や絵などの飾り棚にもなっている靴箱 →靴箱と反対側が下座
- 収納のみの靴箱 →靴箱側が下座
2靴箱がない場合
→玄関ドアに近い場所が下座
訪問バッグは床・畳の上に置く
訪問バッグをテーブルや椅子の上に置いてはいけません。
マナーとしても衛生上の観点からもNGです。床や畳の上に置きましょう。
仏壇のあるお部屋では、仏壇の正面を荷物で塞がないように気をつけます。
「お借りします」「開けてもよろしいですか」の声をかける
訪問看護では、利用者さんのお宅にある洗面所やタオルなどを使用することになります。
「こちら、お借りしますね」と、きちんと一声おかけしましょう。
利用者さんやご家族の状態によっては、訪問看護師が直接、収納場所からタオルなどを取り出すこともあります。
先輩からヒトコト
慣れてくると、勝手知ったる様子で振る舞ってしまいそうですが、「こちらの収納を開けてもよろしいですか」「開けさせていただきますね」など、わきまえた態度を忘れないようにしましょう。
お茶は原則いただかない
利用者さん・ご家族がお茶やお茶菓子を用意してくださることもありますが、丁寧にお断りし、いただかないのが原則です。
契約時や初回訪問の際に「訪問看護師は客ではありませんので、お心遣いはけっこうです」ときちんと説明しておくと良いでしょう。
それでも出してくださる場合、頑なに拒否するのも失礼に当たります。
「せっかくですからいただきます。でも、次からは本当にお気を遣わないでくださいね」などと、臨機応変に対応します。
また、お断りしても何度もお茶を勧められる場合、利用者さんやご家族が何かを相談したいと思っているサインかもしれません。
訪問看護師の身だしなみのマナー
清潔感ある服装で
清潔感のある服装は看護師の基本です。
訪問看護師のユニフォームは、ポロシャツ&チノパンやスクラブタイプが定番ですが、いずれも胸元が開きすぎず、かがんだ時に背中やインナーが見えないようなデザインにしましょう。
先輩からヒトコト
利用者さんのご自宅に上がる訪問看護師は、靴下の汚れやほころびにも注意です!予備の靴下を用意しておくと安心ですね。
訪問前後のマナー
時間厳守!遅刻はNG
訪問看護は「時間」で利用するサービスなので、予定の訪問時間は厳守しましょう。
遅刻はもちろんNGですが、あまりに早く着きすぎるのもマナー違反です。
5分前には到着するように余裕を持って行動し、予定の時間ぴったりにインターホンを鳴らすのがベストです。
やむを得ず遅れる場合は、必ず「遅れる理由」と「何分後くらいに訪問できそうか」を連絡しましょう。
ステーション近隣での会話に注意
訪問看護ステーションの外で、利用者さん個人が特定されるような会話をしないように注意しましょう。
訪問看護の利用者さんは、たいていステーションのご近所で暮らしている方々です。
ランチや仕事帰りなどでステーションの外にいるとき、つい同僚と「今日、◯◯さんが…」と話していると、利用者さんを知る人に聞かれてしまうかもしれません。
利用者さんのプライバシー保護は、マナー以前のルールです。