訪問看護師の働き方は、夜間などの緊急時に対応する「オンコール」があるのが特徴です。

訪問看護師のオンコール対応について、実際の頻度や負担感、オンコール手当の相場などを解説します。

目次

訪問看護のオンコールとは?

訪問看護師が自宅で、緊急の呼び出しや訪問に備えて待機しているイラスト

緊急時に備えて待機すること

訪問看護ステーションの多くは、利用者さんの急変などに備えて24時間体制を取っています。

オンコールとは、こうした緊急の呼び出しや訪問に備えて待機することです。

オンコールの対応は、担当の訪問看護師が専用の携帯電話を持ち、利用者さんやご家族からかかってきた電話に応じるという形が一般的です。

オンコール勤務のことを「オンコール担当」「オンコール当番」「電話当番」などと呼んだりもします。

夜間・休日のオンコール対応は、自宅待機(自宅当直)とするステーションがほとんどです。

先輩からヒトコト

必要なときは緊急訪問に応じられるように、「ステーションから◯分以上の地域に住んでいる場合は、ステーション内の当直室で待機」などと規定しているところもあります。

オンコール担当はメイン・サブの2人体制のことも

オンコール担当を2人体制にしている訪問看護ステーションもあります。

メインの担当者に加えて、サブの担当者を置く体制です。

2人体制にするのは、「メイン担当者が電話に出られなかったときなど、万が一に備える」「ターミナルや重症度の高い利用者さんが多い(オンコールが多い)」といった理由からです。

全国訪問看護事業協会の調査によると、訪問看護ステーションのオンコール当番は、1人体制が約4割、2人体制は約3割となっています。

※「平成27年度 訪問問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業

オンコール手当の相場はいくら?

オンコール手当は1回2000円前後

全国訪問看護事業協会の調査によると、オンコール手当は、1回あたり1000~3000円が相場です。

【訪問看護師のオンコール手当は1回いくらかのグラフ】1,000円未満:6.6% 1,000円~2,000円未満:34.2% 2,000円~3,000円未満:31% 3,000円~4,000円未満:10.1% 4,000円以上:7.9%

出典:訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業(平成27年度 全国訪問看護事業協会)

サブ担当の手当は1000円/回

オンコール対応が2人体制の場合、サブ担当のオンコール手当は、1回あたり「1000円未満」または「1000~2000円未満」というところが多くなっています。

「基本的にはメイン担当が対応するので、実働のないサブ担当は手当なし」としているステーションも少なくないようです。

緊急訪問に出動したら別途手当あり

オンコールを受けて緊急訪問に出動した場合は、オンコール手当とは別に「緊急訪問手当(時間外出動手当、呼び出し手当)」などを設けている訪問看護ステーションがほとんどです。

実働した分の時給制にしているステーションが多く、1時間あたり2000~5000円が相場となっています。

1回の出動ごとに定額制の場合は5000~1万円が相場です。

先輩からヒトコト

オンコールをどのくらい担当するか、どのくらい電話が鳴るか、緊急訪問は多いか、手当額や緊急訪問があった翌日の勤務はどうしているか…などは、訪問看護ステーションによってかなり違いがあります

「思っていたより大変だった…」とならないように、見学や面接などの機会に「オンコール対応はどのようにされていますか?」と確認しておくことをおすすめします。

オンコール担当は月に何回?

オンコール担当は月4~8回程度

訪問看護師がオンコールを担当する回数:月に4~8回ほどです。

オンコールを担当する回数は、月に4~8回ほどです。

所属するスタッフ(看護師)間で持ち回りの当番制にしているところが多いので、その人数によって当番が回ってくる頻度が変わります。

例)オンコールに対応できる看護師が5人

→30日÷5人=1人あたり月6回程度

小規模なステーションでは、「オンコールは基本的に管理者が引き受けている」というケースもあります。

メインとサブ2人体制のステーションでは、「もしもの時は、もうひとり控えている」と思えることは安心感につながる一方で、待機する必要のある日が増えてしまうという負担感もあります。

オンコール、どのくらい鳴るの?緊急訪問は多い?

訪問看護師のオンコールはどのくらい鳴る?:電話が鳴る頻度はステーションによるが、夜間の緊急訪問は月1回程度

電話が鳴る頻度はまちまち

オンコール担当中に電話が鳴る頻度は、訪問看護ステーションによってまちまちです。

終末期の利用者さんや、医療依存度の高い利用者さん、独居の利用者さん、精神疾患の利用者さんが多いステーションなどでは、オンコールの回数は多くなる傾向があります。

季節・時期によっても変動があるでしょう。

また、大規模なステーションの場合はスタッフが多い分、オンコール当番が回ってくる回数は少ない半面、利用者さんも多いため、いざ当番の日は電話が鳴る率が高くなります。

夜間の緊急訪問は「月1回」程度、多くは電話相談で対応

オンコールの電話が鳴っても、必ずしも緊急訪問するわけではありません

多くは電話相談のみで済んだりします。

厚生労働省によると、平均的な訪問看護ステーションの場合、緊急訪問の必要がある利用者さんは1割未満で、その緊急訪問の回数は利用者さん1人あたり月3回ほどです。

緊急訪問が行われる時間帯も多くは日中で、夜間・深夜に緊急訪問するケースは約3割となっています。

中央社会保険医療協議会(平成29年11月15日 在宅医療(その4)

例えば、100人の利用者さんがいるステーションで考えてみると、スタッフ数にもよりますが、1人の訪問看護師がオンコール対応で夜間・深夜に緊急訪問する頻度は月に0~2回と考えられるでしょう。

緊急訪問で実施するケア内容は、病状のアセスメント、利用者さん・ご家族の相談支援、精神的なサポートなどが多いようです。

先輩からヒトコト

ターミナルの利用者さんが多いステーションでは、看取りケア・エンゼルケアを行うことも多くなります。

オンコールや緊急訪問の頻度は、利用者さんの疾患や重症度など、訪問看護ステーションによっても違います。

見学や面接のときに「夜間のオンコールの電話はどのくらいかかってきますか?」「緊急訪問は月何件くらいですか?」と聞いてみると良いでしょう。

オンコール担当の日の過ごし方

オンコールを担当する日(オンコール当番)は、電話がかかってきたらすぐに受けられるように、そして必要があれば緊急訪問に出動できるように、待機しておく必要があります。

自宅での待機が基本となりますが、待機中の過ごし方は、普段通りの生活で特に問題ありません。

近くへの買い物など、ちょっとした外出も大丈夫です。

ただし、着信にはすぐ気付けるように、お風呂のときは脱衣所に、眠るときは枕元にと、常に携帯電話をそばに置いておかないといけません。飲酒も控えましょう。

先輩からヒトコト

「結果的に1回も鳴らなかった」という日でも、常時待機している緊張感があるので、人によっては疲労やストレスを感じるかもしれません。

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