心不全看護認定看護師とは?取得の条件や流れ、役割などを解説

看護師が取りたい資格図鑑「心不全看護認定看護師」の記事のMV

 

心不全看護看護認定看護師は、心不全看護のスペシャリストであることを証明する資格です。

 

この記事では、心不全看護看護認定看護師の資格取得までの流れや取得条件、取得後の仕事内容・役割などについて解説します。

 

 

 

心不全看護認定看護師とは?

心不全看護認定看護師は、認定看護師資格の一つです。心不全をはじめとする循環器疾患のある患者さんとそのご家族に、より専門的なケアを行うための資格です

 

元々は、「慢性心不全看護認定看護師」という名称でしたが、心不全を急性・慢性と区分せずに扱おうという意図で、2019年より「心不全看護認定看護師」へと改められました。


慢性心不全看護認定看護師の資格はいまだに有効で、受験することは可能ですが、2026年度には教育が終了するため、今後は心不全看護認定看護師が増えていくでしょう。

 

2023年時点で、慢性心不全看護認定看護師は457名、心不全看護認定看護師は80名が登録されています。

 

 

心不全看護認定看護師の役割

認定看護師になると、「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。

 

日本看護協会は、認定看護師の役割を次のように定義しています。

 

認定看護師の役割を表した図版。1実践、2指導、3相談がある

出典:日本看護協会「認定看護師

 

心不全看護認定看護師に求められる役割はどのような内容なのでしょうか。具体的に解説します。

 

 

心不全看護認定看護師の役割①「実践」

「実践」では、心不全患者さんの症状や身体・精神・社会的側面の評価を行い、症状を緩和してQOLを高めるための支援などをします。

 

熟練した技術を生かして、患者さんやご家族の権利と自己決定を尊重し、水準の高い看護を実践します。

 

 

心不全看護認定看護師の役割②「指導」

「指導」では、ほかの看護師に対して、ケアの仕方や治療方針などをレクチャーします。

 

病院全体の看護の質を高め、継続的・包括的な支援を実現するように努めます。

 

 

心不全看護認定看護師の役割③「相談」

「相談」では、心不全治療に携わる多職種と連携し、患者さんにとって最適な治療を考えます

 

再入院の多い心不全が再び増悪することのないよう、患者さんは日常生活で適切な食生活や内服、運動などに気を付けなくてなりません。

 

そのために必要なケアマネジャーや薬剤師、理学療法士など多職種との連携をスムーズに行って、総合的な支援ができるように努めます。

 

 

心不全看護認定看護師になるには?

心不全看護認定看護師になるには、どういったステップを踏めばいいのでしょうか? ここでは、資格取得の流れや通う学校、試験内容などを解説します。

 

 

心不全看護認定看護師になるまでの流れ

認定看護師資格を取得するまでには4つのステップがあります。

 

認定看護師になるまでの流れを表した図版。実務経験を満たす→教育機関に入学し、カリキュラムを修了→認定審査を受ける→登録を行う

参考:日本看護協会「認定看護師

 

なお、実務経験については、次の実績や勤務状況であることが望ましいとされています。

 

  • 心不全患者が多い病棟での看護実績(外来、在宅ケア部門での看護実績を含む)
  • 増悪期から回復期にある心不全患者の看護を5例以上担当
  • 現在、心不全患者の多い病棟や外来、在宅ケア部門で勤務
  • 救急蘇生(二次救命処置など)に関する知識・技術を持つ

 

 

心不全看護認定看護師になるための学校や勉強内容

認定看護師を取得するには、指定の教育機関で、決められたカリキュラムに沿って学習しなくてはなりません。

 

2024年時点では、慢性心不全看護・心不全看護ともに指定の教育機関は1カ所のみとなっています。

 

慢性心不全看護認定看護師の対象学校(2024年6月時点)b

神奈川県:北里大学看護キャリア開発・研究センター認定看護師教育課程

 

心不全看護認定看護師の対象学校(2024年6月時点)

岡山県:川崎医療福祉大学看護実践・キャリアサポートセンター

出典:日本看護協会「A課程 認定看護師教育機関 <慢性心不全看護>(特定行為研修を組み込んでいない教育機関)」、「B課程 認定看護師教育機関 <心不全看護>(特定行為研修を組み込んでいる教育機関)

 

学習内容については、それぞれの資格で異なります。

 

例えば心不全看護認定看護師の教育課程は、「共通科目」と「専門科目」「演習・実習」に分かれ、心不全患者さんの診断や治療、療養支援、緩和ケアなどについて学びます。また1年以内に800時間程度の教育課程を修了する必要があります。

 

また、特定行為研修の受講があるのも、心不全看護認定看護師カリキュラムの特徴です。

 

具体的なカリキュラムについては、以下のリンクをご確認ください。

 

 

 

心不全看護認定看護師の試験内容と難易度

認定審査の試験内容は、例年以下のように設定されています。

 

  • 試験時間:100分
  • 会場:都道府県ごとの所定の会場
  • 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)
  • 問題数:計40問(150点満点)
  • 合格率:日本看護協会からの発表はなし

参考:日本看護協会「2024年 第32回認定看護師認定審査実施概要」

 

難易度は易しくはないようです。合格率の公式発表はありませんが、入学試験の準備や800時間の教育課程での学習などがあるため、相当量の学習は必要でしょう。

 

認定審査では「認定看護師教育基準カリキュラム」に沿った基礎知識を中心に出題されます。カリキュラムをしっかり受講して、試験に備えましょう。

 

 

心不全看護認定看護師になるためにかかる時間と費用

心不全看護認定看護師の資格を取る場合、どれくらいの時間や費用がかかるのかを解説します。

 

 

心不全看護認定看護師になるまでにかかる時間

心不全看護認定看護師の資格取得までには、1年半以上かかります。

 

資格取得までのスケジュール例

時期 できごと
4月 入学
4月上旬 e-ラーニングでの授業開始
6月中旬 対面での授業開始、演習・実習開始
翌年1月下旬 修了試験
10月  認定審査
12月 認定審査の合格発表、認定看護師認定証交付・登録

参考:川崎医療福祉大学『令和7年度認定看護師教育課程(B課程)【心不全看護分野】(募集要項)』2頁

 

また、教育機関に通っている間の約1年間は、休職や一時的な退職を考える必要がありそうです。

 

病院によっては、認定看護師取得のための休職の受け入れや、勤務扱いとして対応してくれるところもあります。受験を考える際は、ご自身の病院の制度などについて事前に確認しておきましょう。

 

 

心不全看護認定看護師になるまでにかかる費用

認定看護師になるには、教育機関の入学金と授業料、認定審査を受けるための検定料など総額で120万円程度かかります。

 

認定看護師の資格取得にかかる費用の例

項目 金額
入学試験の受験料 5万円
入学金 5万円
受講料 94万円
認定審査の受験料 5万円
認定料 5万円

参考:日本看護協会「認定看護師」、川崎医療福祉大学「認定看護師教育課程(B課程)

 

さらに、ここに数万円の教材費と、遠方の学校に通う場合は引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。

 

費用の工面は、日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などを活用することも、選択肢の一つです。詳しくは、日本看護協会のホームページを確認しましょう。

 

 

また、勤務先の病院で補助制度を設けているケースもあります。自分の勤務先の制度を確認してみてもよいですね。


 

 

心不全看護認定看護師の仕事内容

心不全看護認定看護師の仕事内容は、通常業務である心不全患者さんの看護を行う点はほかの看護師と変わりません。

 

しかし、それに加えて、心不全看護に関する専門知識や高度な技術を生かし、ほかの看護師やスタッフにノウハウを共有することで、チーム全体の看護の質を高める業務を行っている人が多いようです。

 

また、患者さんの憎悪・再入院を防ぐために、医師や理学療法士、薬剤師などがぞれぞれの専門領域で介入しやすいよう、多職種と連携する際の要の役割も果たしています。

 

 

心不全看護認定看護師になるメリットとは

心不全看護認定看護師の資格取得には、次のようなメリットがあります。

 

心不全看護認定看護師になるためのメリットを解説した図版。1)患者さんやご家族からの信頼を得やすい、2)チームでより効果的なケアができる、3)循環器領域でのキャリアアップにつながる

 

患者さんやご家族からの信頼を得やすい

専門知識を生かして個々の事情やニーズに合わせた生活支援を行えるようになれば、患者さんやご家族からの信頼獲得につながります

 

何でも相談できる看護師さん」と認識されることで、困りごとを打ち明けてもらいやすくなり、より的確なケアができるでしょう。

 

心不全の治療は長期化することが多いため、病気と付き合いながらどのように生活していくかを考えなくてはなりません。

 

長期にわたって生活に入り込みながらケアをしてもらうパートナーとしても、安心感を持ってもらえます

 

 

チームでより効果的なケアができる

専門知識や高度な技術を持っていることで、スタッフから信頼され、チームの中でリーダーシップを発揮しやすくなります

 

心不全看護は多職種の連携によって効果が高まるため、チームの取りまとめを通じて患者さんのケアの質を上げることができます。

 

 

循環器領域でのキャリアアップにつながる

心不全看護認定看護師の資格の取得は、循環器領域のキャリアアップにもつながります。

 

高齢化社会では心不全患者さんに関わる機会が増えるため、スキルを発揮する場面も増えるでしょう。

 

さらに、心不全看護認定看護師を持っていることで循環器疾患への専門的知識があることを周囲にアピールできるため、評価もされやすく、転職や管理職への挑戦などもしやすくなるでしょう。

 

 

まとめ

心不全看護認定看護師になると、病棟だけでなく外来や在宅などさまざまな場所で得た専門知識・スキルを発揮することができます。

 

心不全患者さんと関わる中でより良いケアの仕方を模索している人や、心不全看護のスキルアップに関心がある人は取得を検討してみはいかがでしょうか。
 

執筆:看護roo!編集部

 

 

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