不妊症看護認定看護師になるには?役割やメリットも解説

看護師が取りたい資格図鑑「生殖看護(不妊症看護)認定看護師」の記事のMV

 

不妊症看護認定看護師は、不妊治療をしている患者さんが最適な自己決定ができるように情報提供したり、ケアを行ったりする資格です。2019年より「生殖看護認定看護師」と呼ばれています。

 

この記事では、生殖看護認定看護師になるまでの流れ試験の内容仕事メリットなどについて解説します。

 

 

 

不妊症(生殖)看護認定看護師とは?

不妊症看護認定看護師は、不妊症に悩む夫婦やカップルの治療支援や情報提供をはじめ、不妊症医療全般に対応する認定看護師です。

 

2019年に名称が変わり、現在は「生殖看護認定看護師」となりました。2023年時点で不妊症看護認定看護師は170人、生殖看護認定看護師は2人が資格を取得しています。

 

病院の産婦人科や、生殖医療に深く関わる周産期母子医療センターなどで働く看護師さんが取得することが多い資格です。

 

不妊症看護認定看護師の資格は有効ですが、2026年に教育が終了するため、今後は生殖看護認定看護師が増えていくでしょう。この記事でも「生殖看護認定看護師」について解説をします

 

 

生殖看護認定看護師の役割

認定看護師になると、「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。

 

日本看護協会は、認定看護師の役割を次のように定義しています。

 

認定看護師の役割を表した図版。1実践、2指導、3相談がある

出典:日本看護協会「認定看護師

 

生殖看護認定看護師に求められる役割はどのような内容なのでしょうか。具体的に解説します。

 

 

生殖看護認定看護師の役割①「実践」

「実践」は、不妊治療に関する専門的な知識と技術を持って不妊治療を受ける患者さんへ、最適なケアを提供することです。

 

不妊治療の進め方や治療方法、治療する時期などを患者さん自身が納得して選択できるよう、生殖看護認定看護師はデータや症例などの情報提供を行います。

 

また心身に負担がかかる治療であるため、患者さんの悩みやストレスに寄り添い、ケアを行うことも実践の一つです。

 

 

生殖看護認定看護師の役割②「指導」

「指導」は、ほかの看護師へ最適なケアの方法や情報提供の仕方などを指導することです。

 

不妊症や不妊治療についての知識や技術を指導するだけでなく、不妊治療に不安や悩みを抱える患者さんへの声のかけ方なども助言します。

 

 

生殖看護認定看護師の役割③「相談」

他職種と連携し、適切な看護ケアを検討することが「相談」です。

 

患者さんが望む治療が選択できるよう、不妊治療に関わる医師や臨床検査技師などと連携し、相談しやすい支援体制をつくります。

 

また、他職種からの相談窓口としての役割も担います。

 

 

生殖看護認定看護師になるには?

生殖看護認定看護師になるには、どういったステップを踏めばいいのでしょうか? ここでは、資格取得の流れや通う学校、試験内容などを解説します。

 

 

生殖看護認定看護師になるまでの流れ

認定看護師資格を取得するまでには4つのステップがあります。

 

認定看護師になるまでの流れを表した図版。実務経験を満たす→教育機関に入学し、カリキュラムを修了→認定審査を受ける→登録を行う

参考:日本看護協会「認定看護師

 

上の図の「実務経験」というのは、不妊治療を受ける患者さんの看護を1例以上経験することが該当します。

 

また、日頃から不妊症の患者さんと関わり、生殖看護に関連する病棟や外来で勤務していることが望ましいとされています。


 

生殖看護認定看護師になるための学校や勉強内容

不妊症看護に関わる「生殖看護認定看護師」の授業を開講している学校は、2024年4月時点で「英ウィメンズクリニック・大阪信愛学院大学生殖看護認定看護師教育研修センター」の1カ所のみです。

 

また、「不妊症看護認定看護師」のカリキュラムは、2024年4月時点で開講されていません。

 

今後の募集は、日本看護協会の分野別教育機関一覧を確認しましょう。

 

勉強内容ですが、教育機関では、不妊症などについて、患者さんの状態や治療方法を適切に判断する力や、不妊治療を必要とする患者さんへ最適な情報提供や相談を行う実践力を身に付けます。

 

また、不妊症の要因となり得る症状を判断する知識や技術、患者さんの心身のケア方法なども習得します。

 

詳しくは日本看護協会の認定看護師教育基準カリキュラムを確認しましょう。

 

 

生殖看護認定看護師の試験内容と難易度

認定審査の試験内容は、例年以下のように設定されています。

 

  • 試験時間:100分
  • 会場:都道府県ごとの所定の会場
  • 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)
  • 問題数:計40問(150点満点)
  • 合格率:日本看護協会からの発表はなし

参考:日本看護協会「2024年 第32回認定看護師認定審査実施概要」

 

難易度は易しくはないようです。合格率の公式発表はありませんが、入学試験の準備や800時間の教育課程での学習などがあるため、相当量の学習は必要でしょう。

 

認定審査では「認定看護師教育基準カリキュラム」に沿った基礎知識を中心に出題されます。カリキュラムをしっかり受講して、試験に備えましょう。

 

 

生殖看護認定看護師になるためにかかる費用と時間

生殖看護認定看護師の資格を取る場合、どれくらいの時間や費用がかかるのかを解説します。

 

 

生殖看護認定看護師になるまでにかかる費用

認定看護師になるには、教育機関の入学金と授業料、認定審査を受けるための検定料など総額で130万円程度かかります。

 

認定看護師の資格取得にかかる費用の例

項目 金額
入学試験の受験料 5万円
入学金 10万円
受講料 110万円
認定審査の受験料 5万円
認定料 5万円

参考:英ウィメンズクリニック・大阪信愛学院大学生殖看護認定看護師教育研修センター「生殖看護認定看護師教育課程(B 課程) 2024 年度研修生募集要項

 

さらに、ここに数万円の教材費と、遠方の学校に通う場合は引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。

 

費用の工面は、日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などを活用することも、選択肢の一つです。詳しくは、日本看護協会のホームページを確認しましょう。

 

 

また、勤務先の病院で補助制度を設けているケースもあります。自分の勤務先の制度を確認してみてもよいですね。

 

 

生殖看護認定看護師になるまでにかかる時間

生殖看護認定看護師の資格取得までには、約2年かかります。

 

資格取得までのスケジュール例

時期 できごと
4月 入学
4月上旬 e-ラーニングでの授業開始
8月 演習・実習
翌年2月 修了試験
10月  認定審査
12月 認定審査の合格発表、認定看護師認定証交付・登録

参考:英ウィメンズクリニック・大阪信愛学院大学生殖看護認定看護師教育研修センター「生殖看護認定看護師教育課程 年間進度表(2024年度)

 

また、教育機関に通っている間の約1年間は、休職や一時的な退職を考える必要がありそうです。

 

病院によっては、認定看護師取得のための休職の受け入れや、勤務扱いとして対応してくれるところもあります。受験を考える際は、ご自身の病院の制度などについて事前に確認しておきましょう。

 

 

生殖看護認定看護師の仕事内容と働く場所

生殖看護認定看護師は、不妊治療を必要とするカップルの相談や面談を担当し、治療や検査について、自己決定に必要な情報提供を行います。そのうえで、治療を通して感じるストレスを汲み取り、相談先としてケアすることが主な仕事です。

 

また不妊症に関する知見をチームや院内に広めることも重要な業務です。セミナーや勉強会、研修・実習の講師を務め、不妊症に関する知識や、患者さんとの関わり方を指導するなど、看護師の育成にも携わります。

 

働く場所は病院が多く、産婦人科や周産期医療を専門とする医療機関に所属しています。そのほかに、大学などの教育機関・研究機関で、生殖分野の知識提供などに関わるケースもあります。

 

 

生殖看護認定看護師になるメリットとは

生殖看護認定看護師の資格取得には、次のようなメリットがあります。

 

生殖看護認定看護師になるためのメリットを解説した図版。1)生殖看護の領域でのスキルアップ、2)不妊症に悩むカップルの安心できる相談先になれる、3)キャリアアップにつながる

 

生殖看護の領域でスキルアップにつながる

生殖看護認定看護師の学習を通じて、患者さんの状態や状況を適切に判断し、タイミング指導や人工授精、体外受精など、必要な治療や最適な方法を検討できる力が養われます

 

専門的な知識やスキルを磨くことで、患者さんのライフスタイルや身体の状態、生殖課題に適した治療は何であるかや、どのような情報やアドバイスが必要であるかも考えやすくなるでしょう。

 

 

不妊症に悩むカップルが安心できる相談先になれる

生殖看護認定看護師であることは、「頼れる・信頼できる看護師さん」として、患者さんも相談がしやすく、最適な支援につなげやすくなります

 

不妊治療は患者さん本人の考えが大切であり、倫理的な課題も多い分野です。看護師は患者さんの気持ちに寄り添い、納得のいく選択ができるように必要な情報を提供し、サポートをしなければいけません。

 

生殖看護認定看護師という、専門的な知識を提供してくれる存在であることで、患者さんは信頼してメンタルの悩みなども打ち明けやすくなるでしょう。

 

 

キャリアアップにつながる

生殖看護認定看護師を取得すれば、確かな知識とスキルのある看護師として認められやすくなり、生殖分野でのキャリアアップにつながります

 

生殖看護認定看護師はまだ人数が少ない一方、不妊治療を考えるカップルは増加傾向にあり、高度な看護を提供できる存在として、ほかの看護師からも頼られる機会が多くあります。

 

生殖分野の医師やほかの看護師さんに考えや助言を求められたり、セミナーや研修会の企画を依頼されたりと、活躍の場を広げることも期待できます。

 

 

まとめ

生殖看護認定看護師は、不妊治療を行う患者さんと関わり、より高度な知識や技術を持って不妊治療のサポートをしたいと考える看護師さんにおすすめの資格です。

 

「患者さんにもっと具体的で役立つアドバイスができるようになりたい」

「性や生殖に関する課題についても関わってみたい」

 

と考える方は、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆:看護roo!編集部

 

 

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