慢性腎臓病療養指導看護師(CKDLN)はどんな資格?メリットや合格率を解説
慢性腎臓病療養指導看護師(CKDLN)とは、透析をはじめとした、慢性腎臓病(CKD)看護のエキスパートです。
この記事では、慢性腎臓病療養指導看護師の役割やメリット、合格率などを解説していきます。
目次
慢性腎臓病療養指導看護師とは
慢性腎臓病療養指導看護師とは、慢性腎臓病患者さんへの看護の質を上げるために、2003年に設立された民間資格です。
2017年まで「透析療法指導看護師」と呼ばれていましたが、透析だけでなく慢性腎臓病の予防を含めた幅広いケアに対応する資格であるため、現在の名称に変更されました。
高齢化で年々増加する慢性腎臓病。それに対応できる看護師への需要も高まっています。
「透析看護だけでなく、慢性腎臓病の予防や増悪防止のできる看護師になりたい」
「慢性腎臓病の療養指導について、より専門的な立場から後輩の指導がしたい」
などと考えている看護師さんにはおすすめの資格です。
慢性腎臓病療養指導看護師の役割
慢性腎臓病療養指導看護師は、慢性腎臓病の患者さんに質の高い看護を提供し、チーム医療の中心的存在として、他職種と連携する役割が求められています。
慢性腎臓病は、生活習慣を見直すことで、予防につなげたり、進行を遅らせたりできるため、患者さんへの生活面の指導も大切な業務の一つです。
また、看護スタッフへの教育を通して、現場の看護の質を高めることも期待されています。チーム医療の中心的存在として情報共有や治療の方向性決定に関与するなど、活躍は多岐にわたります。
これまで2200人に近い看護師がこの資格を取得しています(2022年現在)。
腎臓病療養指導士との違い
慢性腎臓病療養指導看護師に似ている資格に「腎臓病療養指導士」という資格もあります。
慢性腎臓病療養指導看護師と違って、腎臓病療養指導士は、看護師だけでなく、薬剤師や管理栄養士も受験が可能です。看護だけでなく、多職種連携も踏まえた、職種横断的な視点から学ぶことができるようになっています。
慢性腎臓病療養指導看護師になるメリット
ここでは、慢性腎臓病療養指導看護師になるメリットは、以下の通りです。
1スキルアップができる
資格取得を通して、慢性腎臓病看護のスキルを高めることができます。
認定試験の出題範囲となっている「慢性腎臓病看護第6版」(日本腎不全看護学会編集・医学書院出版)には、慢性腎臓病の基礎知識から看護の実践事例、チームマネジメントに至るまで、幅広い内容が収録されており、資格の学習を通して、知識を深めることができます。
また、認定試験の申請時には、慢性腎臓病領域の看護実践に関する自身の事例報告を提出しなければなりません。自らの経験を振り返りながら、学習を深めることができるでしょう。
2チームのレベルアップに貢献できる
慢性腎臓病療養指導看護師になることで、チーム全体のレベルアップにも貢献できます。
今後需要が高まる慢性腎臓病の分野において、どうやって後進を育てるか悩んでいる看護師さんは多いかもしれません。専門知識を身につけることで、より説得力を持った指導ができるようになるでしょう。
また、勉強会の開催や研修参加によって他病院や他職種との交流が広がり、チーム外における慢性腎臓病看護の質を高めることにもつながります。
慢性腎臓病療養指導看護師になるには
ここからは、慢性腎臓病療養指導看護師になるための流れを説明していきます。
慢性腎臓病療養指導看護師になるまでの流れ
申請期間は約2週間と短めです。
申請書類に不備があると、その時点で受験資格を失ってしまいますので、事前にしっかり審査要項をチェックしておきましょう。
慢性腎臓病療養指導看護師の受験資格
慢性腎臓病療養指導看護師の受験資格は、以下の通りです。
- 看護師としての5年以上の実務経験(准看護師は不可)
- 慢性腎臓病看護領域において3年以上の実務経験
- 慢性腎不全看護学会で3年以上の正会員歴
- 研修会参加や論文執筆などを行い、認定ポイントが30ポイント以上
- 慢性腎臓病領域の看護に関する事例提出
慢性腎臓病療養指導看護師の受験費用や会場は?
受験費用には、試験を受けるための「資格審査料」に30,000円が必要です。出題範囲に指定されている「慢性腎臓病看護 第6版」を購入する場合、その書籍代も必要です。
また、合格後は、「登録料」に10,000円がかかります。
なお、不合格になってしまい、翌年再受験をする場合は、資格審査や審査料が免除となる場合があるため、公式サイトを確認しましょう。
続いて試験会場についてです。
慢性腎臓病療養指導看護師の試験は、「CBT方式」で行われます。
CBT方式とは、所定のテストセンターに行き、設置してあるPCを使って試験を受ける方式のことです。
会場は全国にあるCBTテストセンターです。テストセンターは、全国に会場が用意されています。自宅からアクセスの良い場所を選べるのは大きなメリットです。
慢性腎臓病療養指導看護師の合格率・難易度
受験を考える際、気になるのが合格率ですね。しかし、慢性腎臓病療養指導看護師の合格率は、公式サイトで発表されていません。
難易度については、易しくはないようです。
出題範囲として指定されている『慢性腎臓病看護 第6版』には、慢性腎臓病に関してかなり詳細な知識について書かれているうえ、試験を受けるために研修や学会への参加、事例報告が必要だからです。事前の学習や準備にある程度の時間がかかるでしょう。
腎臓病看護に関するスキルアップが狙えるその他の資格
腎臓病看護に関する分野の資格取得を考えている看護師さんにおすすめの資格は、他に以下のようなものがあります。
腎不全看護認定看護師
腎不全看護認定看護師は、腎不全看護の領域において、患者さんとご家族に対するQOL向上のための高水準の看護を実践する認定看護師です。
腎不全看護認定看護師になるためには、看護師として5年の実務経験(うち、3年以上は認定看護分野の実務経験)に加え、600時間の認定看護師教育機関での教育課程を修了し、認定審査を受ける必要があります。
時間や費用がかかることから根気強く取り組む必要がありますが、本格的に腎不全看護に向き合いたい看護師さんにはおすすめの資格です。
腎臓病療養指導士
上記で紹介した腎臓病療養指導士は、生活習慣や薬の服用方法などの療養生活の指導・サポートを目的に、2018年から導入された比較的新しい資格です。
看護師が腎臓病療養指導士になるためには、看護師として3年以上の実務経験と、腎臓病患者に対して「2年以上+1000時間以上」の療養指導経験があること、指定の研修や講習会を受講していることといった条件を満たした上で、認定試験に合格する必要があります。
「慢性腎臓病患者の療養生活面のサポートについて、多職種の視点から積極的にアプローチしたい!」と考えている方にはおすすめです。
透析技術認定士
透析技術認定士は、透析装置の操作と管理のスペシャリストとして、質の高い透析医療の提供を目的に作られた資格です。
看護師が透析技術認定士になるためには、看護師としての2年以上の透析医療における実務経験(准看護師は3~4年の実務経験)に加え、認定講習会を受講し、認定試験に合格する必要があります。
業務のなかには、透析現場に従事している他職種への教育サポートも含まれます。
「透析装置の管理も含めて透析現場のスペシャリストを目指したい!」と考える看護師さんにはおすすめです。
まとめ
慢性腎臓病の患者数は年々増えており、慢性腎臓病療養指導看護師の需要は今後も増えると予想されます。
慢性腎臓病看護の療養指導や透析看護のスキルアップをして、やりがいを持って働きたいと考えてる方は、受験を考えてみてはいかがでしょうか?
執筆:看護roo!編集部
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