認定看護師とは?種類や役割、難易度などをわかりやすく解説
看護師さんが目指す資格の中でも有名な認定看護師。「名前は聞いたことがある」「いつか取得したいけれど、どうやって取るのか分からない」と思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では認定看護師の役割や看護分野の種類、資格取得の流れや審査の内容、資格取得のメリットなどについて解説します。
目次
認定看護師とは?
認定看護師は、特定の看護分野において専門性の高い知識とスキルを持つ看護現場のスペシャリストです。
看護師さんが目指す資格の中でも有名で、取得を目指す方が一定数います。
認定看護師の役割は?
「認定看護師」には「実践」「指導」「相談」の3つの役割があります。
「実践」では、高い技術と知識を生かして、患者さんやそのご家族へより良い看護を提供することが期待されています。
「指導」では、看護現場でのリーダーシップの発揮と、ほかの看護師さんのお手本となって技術のレクチャーなどが求められています。
「相談」では、ほかの看護師さんや多職種が判断に迷うことや、仕事上の疑問・問題に対して専門性の高い指導とアドバイスを行うことが求められています。
活躍の場は医療機関をはじめ、訪問看護ステーション、介護保険施設などがあります。
認定看護師はどれくらいいる?
2023年12月時点の認定看護師の数は24,096人で、看護関連の資格の中でもメジャーな資格の一つです。
看護分野別ではA課程の「感染管理」の認定資格取得者が最も多く、次いで「緩和ケア」(A課程)、「認知症看護」(A課程)という結果が出ています。
高度なケアを必要とする病気や、世の中の状況と共に看護ニーズが変化している分野において、認定看護師を目指す人が多いようです。
認定看護師と専門看護師の違い
認定看護師と間違われやすい資格として「専門看護師」があります。違いは期待される役割です。
認定看護師の役割は「実践・指導・相談」の3つで、現場での実践力が重視されます。
一方、専門看護師は「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つの役割があり、現場活動に加え、教育や研究面での活躍も期待されます。
患者さんのそばで寄り添い、質の高いケアを提供し、実践力を高めていく点が、認定看護師の醍醐味と言えるでしょう。
両資格の違いについては、以下で詳しく説明しています。
認定看護師の種類
認定看護師の資格は、認定看護分野ごとに分かれています。
認定看護分野とは日本看護協会が定めたもので、保健・医療・福祉の現場で、高度な技術と知識が必要とされる分野です。
看護分野にはA課程とB課程の2つがあります。2019年に認定看護師規程が改正され、看護分野はA課程のほかに、新たにB課程ができました。
A課程の認定看護21分野
A課程は21分野あります。
表認定看護師のA課程分野
分野名 | 知識と技術 |
---|---|
救急看護 |
|
皮膚・排泄ケア |
|
集中ケア |
|
緩和ケア |
|
がん化学療法看護 |
|
がん性疼痛看護 |
|
訪問看護 |
|
感染管理 |
|
糖尿病看護 |
|
不妊症看護 |
|
新生児集中ケア |
|
透析看護 |
|
手術看護 |
|
乳がん看護 |
|
摂食・嚥下障害看護 |
|
小児救急看護 |
|
認知症看護 |
|
脳卒中リハビリテーション看護 |
|
がん放射線療法看護 |
|
慢性呼吸器疾患看護 |
|
慢性心不全看護 |
|
認定看護師の規程が変わったことにより、A課程の教育は2026年度で終了します。そのため、これからA課程の認定看護師資格を取ろうとしている人は注意が必要です。
ただし、2029年度まではA課程の認定審査を受けることができます。5年ごとに必要な「更新審査」は続けられるため、A課程で資格を取った場合でも資格が停止することはありません。
詳しくは、A課程からB課程へ変更で解説します。
B課程の認定看護19分野
2020年度から、19分野のB課程の資格が取れるようになりました。
2027年度には、A課程は受けることができなくなり、B課程のカリキュラムを受けることになります。
表認定看護師のB課程分野
分野名 | 知識と技術 |
---|---|
感染管理 |
|
がん放射線療法看護 |
|
がん薬物療法看護 |
|
緩和ケア |
|
クリティカルケア |
|
呼吸器疾患看護 |
|
在宅ケア |
|
手術看護 |
|
小児プライマリケア |
|
新生児集中ケア |
|
心不全看護 |
|
腎不全看護 |
|
生殖看護 |
|
摂食・嚥下障害看護 |
|
糖尿病看護 |
|
乳がん看護 |
|
認知症看護 |
|
脳卒中看護 |
|
皮膚・排泄ケア |
|
B課程では「特定行為研修」がカリキュラムに追加されました。特定行為研修とは、看護師がお医者さんの指示のもとで特定行為を行う際に必要となる、理解力や考え方、判断の仕方、スキルなどを学ぶ研修です。
特定行為研修を受けてスキルを身につけることで、より的確で素早いケアや処置を施せるようになります。
A課程からB課程へ変更
社会や医療ニーズの変化により認定看護師の活動も広がりました。求められる役割も変化することから、規定改正により、看護分野の統合と、分野名の変更が行われました。
A課程の「救急看護」と「集中ケア」が統合して「クリティカルケア」に、「緩和ケア」と「ガン性疼痛看護」が「緩和ケア」になりました。
また9分野の名称が変わり、求められる役割や知識もより広がりました。
認定看護師になるには
認定看護師の資格はどのように取れるのか、試験から合格までの流れや必要な準備を解説します。
認定看護師資格取得の流れ
認定看護師資格を取得するまでには4つのステップがあります。
認定看護師の資格を取るためには、教育機関で一定の勉強が必須です。授業を開講する学校は看護分野ごとに異なり、A課程・B課程で必要な学習も違います。
A課程は615時間以上の教育を、集合教育(学校へ通学)で受講します。
一方、B課程は800時間程度の教育+特定行為研修を受講しなければいけません。集合教育のほかに、一部のカリキュラムはeラーニングが活用できます。
認定看護師になるためにかかる費用
認定看護師になるには、教育機関の入学金と授業料、認定審査を受けるための検定料などがかかります。
以下は認定看護師資格を取る際にかかる費用の一例です。
日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などの活用も、選択肢の一つとして検討しましょう。
詳しく知りたい方は、日本看護協会のホームページで確認できます。
認定看護師を目指す際の注意点
認定看護師を目指す際の注意点は主に3つあります。
- 授業は平日の昼間に開講される
- 通学のために引っ越しが必要な場合がある
- 資格取得までに費用がかかる
授業は平日の昼間に開講される
教育機関の授業は平日の昼間に開講されることがほとんどのため、多くの人は休職をするか、長期出張の申請をして通学する必要があります。
通学のために引っ越しが必要な場合がある
認定看護師資格の授業を受けられる学校は限られています。希望する看護分野の授業が遠方の学校でしか開講されない場合、一時的に引っ越しが必要となる場合もあります。
資格取得までに費用がかかる
看護師認定資格の取得には最低でも100万円前後かかります。
引っ越しが発生する場合はさらに費用がかかることもあるため、事前にしっかりと準備をする必要があります。
認定看護師資格取得の方法は?
認定看護師の審査の流れや内容、合格率などを解説します。
認定審査の流れ
認定審査は年1回行われます。試験は例年47都道府県で行われていますが、詳細は日本看護協会のホームページを確認しましょう。
認定審査の内容は?
認定審査の内容は、以下の通りです。
試験の方式
認定審査は筆記試験(マークシート方式・四肢択一)で、試験時間100分で行われます。
出題方式
問題数は全40問、150点満点です。一般問題が20問(50点満点)、状況設定問題が20問(100点満点)という構成です。
共通科目を含め、各認定看護分野の教育基準カリキュラムから出題されます。
認定審査の合格率や難易度は?
日本看護協会による、合格者数や合格率についての発表はありません。
教育機関によっては修了生の合格状況を公開しており、認定看護師資格の取得を考える際の参考になるでしょう。
ちなみに、北海道医療大学の令和4年度合格者は38名で、合格率は100%1)でした。
試験の合格率はそこまで厳しくはありませんが、資格を取るために教育機関に通う必要があるため、資格取得の道のりは簡単ではありません。
認定看護師になるメリット
認定看護師の資格を持っていると、スキル面やキャリア面などでメリットがあります。
1専門的な専門的な知識と高度な技術が身につく
認定看護師としての一定の学習をすることで、看護分野の深い専門知識や高度な技術が身につき、幅広い医療ニーズに対応できるようになります。
患者さんの症状や状況に応じて適切なケアを提供できるようになり、現場での活動を重ねるごとに看護師としてのスキルも磨かれるでしょう。
2できることの範囲が広がる
認定看護師の役割の一つに「指導」があるように、ほかの看護師さんへケアの仕方を教えたり、知識を提供したりと、指導する立場になることが増え、できることの範囲が広がります。
また、専門知識を生かした業務に携われるようにもなるでしょう。例えば部署を越えた指導や院内セミナーの企画・運営、病院外での看護スキルのレクチャーなどの機会が得られます。
3キャリアアップにつながる
認定看護師として責任ある業務を担う機会が増えることで、努力や働きが認められ、昇進や昇給などキャリアアアップの機会も期待できます。
「看護師として看護現場で活躍したい」「現場で発揮できるスキルをさらに磨きたい」という思いがある場合は、認定看護師の資格取得を検討するとよさそうです。
まとめ
本記事では認定看護師の役割や看護分野、資格取得の流れ、審査内容、資格取得のメリットなどを解説しました。
認定看護師は、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有する者として認定を受けた看護師です。取得することで、専門性の高い知識とスキルを持って患者さんに適切なケアを提供できるようになります。
看護師としてスキルアップやキャリアアップを目指す人に効果的な資格である一方、取得のためには時間と費用がかかるという点も認識する必要があります。
執筆:看護roo!編集部
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