「医療の垣根を低くしたい」からはじまった「SNS医療のカタチ」

山本健人外科医けいゆう

外科医

 

「一般向けに医療情報発信を目的としたリアルイベントをやりたい」
外科/医けいゆうこと、私、山本健人と皮膚科医の大塚篤司(大塚篤司【医師’医学博士】Atsushi Otsuka)、小児科医の堀向健太(ほむほむ@アレルギー専門医)の3人がそんな想いを強く持ち、イベントを企画したのは2018年のこと。

 

なぜそのような想いを持ったのか。
それは、誤った医療情報、医療デマに惑わされ、健康被害を受ける人たちをこれまで何度も目の当たりにしてきたからです。

 

そんな想いから始まった「SNS医療のカタチ」は、毎年夏に「SNS医療のカタチTV」と題して年に一度の大きなイベントを開催しています。
連載第1回目の今回は、これまでの「あゆみ」を振り返ってみたいと思います。

 

発起人の3人。左から、私、堀向健太、大塚篤司

 

「#SNS医療のカタチ」のはじまり

大阪の小さな会議室で、3人が初めて独自に市民公開講座を開いたのは2018年12月13日のことです。
イベントのタイトルは、「SNSが作る新たな医療のカタチ〜新世代のインタラクティブセミナー〜」でした。

 

参加無料、申込不要。
誰が何人来るかも分からないイベントを「見切り発進」で立ち上げ、唐突にTwitterで告知したのです。それが、「SNS医療のカタチ」のはじまりでした。

 

「10人くらいは来てくれるかな」
などと言いながら40人用の会議室を予約したのですが、当日驚くべきことが起こりました。
会議室の前に行列ができ、立ち見ができるほど大勢の参加者で溢れかえったのです。

 

これまでも、医療機関や市町村が主体となって開かれる市民公開講座は多くありました。
しかし、医師が自力で立ち上げ、Twitterだけで告知してボランティアで開いた講座は、当時は数少なかったのではと思います。

 

医師たちが参加者に直接語りかけられる、インタラクティブな(相互作用が生じる形の)イベントに、多くの人が関心を持ってくださる。そのことを実感した会でした。

 

イベント終了後、参加者のお一人が助言をくださいました。
「今後この会を広げるには、ハッシュタグを作るのがいいのでは?」
そこで生まれたのが、会のタイトルを縮めたハッシュタグ「#SNS医療のカタチ」でした。

 

第一回の成功に味をしめた私たちは、続いて第二回を都内で開くことに決めます。

 

2019年2月10日、東京で開いた「SNSが作る新たな医療のカタチ IN TOKYO」には120人近くの参加者が訪れ、私たちの声に真剣に耳を傾けてくださいました。
この時、会場を用意し、運営のサポートをしてくださったのが、看護roo!の皆さんでした。

 

続いて2019年8月11日、病理医ヤンデルこと市原真が仲間に加わり、札幌の会議室で第3回の市民公開講座「SNSが作る新たな医療のカタチ IN 札幌」が開催されました。

 

「東京で120人なら、札幌はせいぜいその半分くらいだろう」
そう思って60人程度の会議室を予約したのですが、何とこの会場に150人を超える長蛇の列ができました。

 

TKP札幌の方のご厚意で、急遽大きな会場を用意してくださることになりましたが、それでも立ち見の参加者で溢れかえってしまいました。

 

 

リアルイベントからオンラインへと発展した「#SNS医療のカタチ」

その後、コロナ禍でリアルイベントが難しくなった2020年、YouTubeに場所を移し、オンラインでの市民公開講座を始めました。「#SNS医療のカタチONLINE」のはじまりです。

 

「SNS医療のカタチONLINE」の画面

 

それから約3年。
多くの専門家をお呼びし、配信したオンライン講座の回数は43回にもなりました。

 

同じく2020年からは、小説家の浅生鴨さん、編集者のたらればさんを始め、イベント企画のプロフェッショナルたちをさらにお招きし、年に1回の医療のお祭り「SNS医療のカタチTV」が始動しました。

 

この企画も年々大きくなり、4年目となる今年は、盛りだくさんな企画が準備されています。

 

医療の垣根を低くしたい。
科学的根拠のない医療情報に惑わされる人たちを少しでも減らしたい。

 

どれだけ規模が大きくなっても、大阪の小さな会議室で始めた時の気持ちは変わりません
そして、協力してくださる皆様に感謝し、この熱意に共鳴してくださる方たちの輪をもっともっと広げていきたいと考えています。

 

看護師のみなさんも、ぜひこの輪に加わっていただけたら、と思います。
この夏の「SNS医療のカタチTV」でお待ちしています。

 

 

「SNS医療のカタチTV2023」イベントスケジュール

8月1日 同人誌「医療のトリセツ」刊行
8月5日 「医療のトリセツ」刊行記念トーク&サイン本お渡し会
8月19~20日 「SNS医療のカタチTV2023」の公開収録
8月26~27日 YouTubeでのオンエア(アーカイブあり)

三省堂書店、大垣書店、本屋B&Bでの選書フェア「#SNS医療のカタチと本の夏」 公式グッズ販売(漫画家おかざき真里さんのイラストをあしらったグッズ)
(※各イベントの詳細は公式ホームページ

 

執筆

田附興風会 医学研究所北野病院 消化器外科/腫瘍研究部 医員・研究員山本健人

医師・博士(医学)。平成22年京都大学医学部卒業後、複数の市中病院勤務を経て、現職。 医療情報サイト「外科医の視点」を運営し、累計1200万PV超。資格は外科専門医、消化器外科専門医、消化器病専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、がん治療認定医 、感染症専門医など。
「外科医けいゆう」のペンネームで、TwitterInstagramFacebookを通して様々な活動を行い、読者から寄せられる疑問に日々答えている。

 

編集:林 美紀(看護roo!編集部)

 

 

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