「パワハラ防止法」って、知ってる?|看護roo!ニュース

パワハラ防止法

 

2020年6月から施行された、改正労働施策総合推進法(いわゆる「パワハラ防止法」)

 

この法律で何が変わるのか?ナースが知っておきたいポイントをまとめました。

 

 

「パワハラ防止法」って?

 

「パワハラ防止法」って何ですか?

 

職場のパワハラを防ぐ対策を、事業主に義務づける法律です。6月からは大企業のみが対象ですが、中小企業も2022年4月から義務化されます。

 

※医療機関の場合、「資本金等が5000万円以下」または「常時雇用の職員が100人以下」であれば「中小企業」に分類され、2022年4月までは努力義務とされます。それ以外の大きな医療機関では、すでに対策の義務化は始まっています。

 

なぜ「パワハラ防止法」ができたのですか?

 

職場のいじめや嫌がらせの相談が多く、問題となっていたからです。2018年度の都道府県労働局への相談件数は8万2797件で、7年連続で民事上の個別労働紛争の中で最も多い相談となっています。

 

2018年度の民事上の個別労働紛争相談件数/のべ32万3481件(いじめ・嫌がらせ:26%、自己都合退職:13%、解雇:10%、労働条件引き下げ:8%、退職勧奨:6%、その他:37%)

厚生労働省「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を基に看護roo!編集部で作成

 

 

どこからが「パワハラ」になるの?

 

何が「パワハラ」になるんですか?

 

下記の図の3つの要素がすべてそろった場合、パワハラとみなされます。必ずしも上司からスタッフへの行為とは限らず、同僚の集団による行為や、協力が得られないと業務上困る知識や経験が豊富なスタッフによる行為も、パワハラと考えられる場合があります。 

 

職場におけるパワハラ3要素/1:優越的な関係を背景とした言動、2:業務上の適正範囲を超えたもの、3:労働者の就業環境が害されるもの

厚生労働省「パワハラ防止指針」を基に看護roo!編集部で作成

 

具体的には、どんな行為が「パワハラ」になるのでしょうか?

 

厚生労働省は、代表的なパワハラを6つの類型に分け、類型ごとにパワハラと考えられる例と、そうではないと考えられる例を示しています。

 

代表的なパワハラの6類型/1:身体的攻撃(パワハラと考えられる:殴る、蹴る、物を投げる、パワハラではないと考えられる:あやまってぶつかる)、2:精神的な攻撃(パワハラと考えられる:人前で大声で叱責をする、パワハラではないと考えられる:繰り返す遅刻などを一定程度強く注意する)、3:人間関係からの切り離し(パワハラと考えられる:集団で無視をする、パワハラではないと考えられる:新規採用者の育成で短期間、別室で研修をする)、4:過大な要求(パワハラと考えられる:業務と関係のない私的な雑用を強要する、パワハラではないと考えられる:繁忙期に通常より一定程度多い業務を任せる)、5:過小な要求(パワハラと考えられる:嫌がらせで仕事を与えない、パワハラではないと考えられる:労働者の能力に応じ一定程度業務を軽減する)、6:個の侵害(パワハラと考えられる:労働者の性的指向や性自認、病歴などを暴露する、パワハラではないと考えられる:労働者への配慮で家族の状況などのヒアリングを行う)

厚生労働省「パワハラ防止指針」を基に看護roo!編集部で作成

 

また、こうしたケース以外のパワハラもあれば、個々のケースで判断が異なることもあるため、パワハラに該当するか微妙なものも含めて広く相談に対応することが必要としています。

 

 

職場に義務付けられたパワハラ対策とは?

 

「パワハラ防止法」で何が変わるんですか?

 

事業主に対し、パワハラを防ぐために4つの対策を行うよう求めています。罰則はありませんが、厚生労働大臣が必要と認めたときは事業主に対する指導や勧告が可能で、それに応じない場合は公表される可能性もあります。

 

4つのパワハラ対策

  1. 1パワハラをしてはいけない方針を示す
  2. 2相談体制を整える
  3. 3パワハラ発生時、素早く適切に対応する
  4. 4プライバシーの保護や相談者に不利益がないようにする

 

 

医療現場でも、対人業務の多い看護師に対するパワハラは度々問題となっています。

 

今回の法改正による義務化で、パワハラ対策が進むことが期待されます。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

 

(参考)

パワーハラスメント対策が事業主の義務となります! ~セクシュアルハラスメント等の防止対策も強化されます~(厚生労働省)

パワハラ防止指針(厚生労働省)

平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況(厚生労働省)

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