准看護師の試験が変わる? この春できた「日本准看護師推進センター」って?|看護roo!ニュース

准看護師試験が変わる?

 

2019年4月1日より、保健師助産師看護師法の一部改正で、これまで都道府県によって行われてきた准看護師試験の問題作成などが外部に委託できるようになりました。

 

この春に設立された「日本准看護師推進センター」が、2020年度から試験業務を担えるよう準備を進めています。

 

すべての都道府県がこのセンターに委託するとは限りませんが、これによって准看護師試験がどのように変わるのでしょう。

 

 

准看護師試験の何が変わるの?

准看護師試験は毎年、各都道府県によって行われています。

 

ほかの都道府県と共同で試験業務を行うことが可能で、これまで全国で幾つかのブロックに分かれて実施されてきました

 

准看護師試験のブロック/ブロック1:北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島/ブロック2:栃木、群馬、埼玉、新潟、長野、山梨/ブロック3:千葉、富山、石川、福井、岐阜、静岡、愛知、三重、奈良/ブロック4:茨城、東京、神奈川、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、徳島/ブロック5:島根、鳥取、岡山、広島、山口、香川、愛媛、高知/ブロック6:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

平成30年度准看護師試験実施一覧(日本准看護師連絡協議会)」を基に看護roo!編集部で作成

 

試験業務をセンターに委託することで想定される影響は大きく2つ。

 

 出題傾向や難易度

 試験日

 

准看護師試験は、地域によって試験問題のレベルに差が出ないように、厚生労働省が示す基準に則って作成されています。

 

しかし、地域によっては正解率の平均が7~8割と高いところもあるなど、「ブロックごとに出題内容や難易度が異なる」との声が上がっていました。

 

センターは、「各ブロックの傾向を踏まえつつ、受験者に大きな影響がないよう配慮する」としていますが、地域によっては例年よりも問題が難しくなる可能性があります。

 

准看護師試験のおもな基準/1:看護を中心とした内容で、基礎的な知識を問う問題が中心/2:問題の難易度は平均的な正解率が6~7割となるようにする/3:14科目から出題、選択式問題(14科目:●人体の仕組みと働き●食生活と栄養●薬物と看護●疾病の成り立ち●感染と予防●看護と倫理●患者の心理●保健医療福祉の仕組み●看護と法律●基礎看護●成人看護●老年看護●母子看護●精神看護)

「准看護師試験の実施に係る留意事項について(厚生労働省通知)」を基に看護roo!編集部で作成

 

また、これまで准看護師試験は、ブロックごとに試験日が異なっていたため複数回の受験が可能で、それが一つのメリットとも言われていました。

 

しかし、センターが実施する初年度となる2020年度(2021年2月)の試験は全国で同じ日(看護師国家試験とは別日)とする方針です。

 

センターは、将来的には各都道府県の要望などを踏まえ、別日の試験の実施も検討していくとしていますが、2020年度以降に複数回受験したい人は試験情報をチェックしておいた方がよいでしょう。

 

 

「日本准看護師推進センター」って?

日本准看護師推進センターは、准看護師の養成に意欲的な日本医師会や四病院団体協議会が中心となって設立されました。

 

センターができた背景には、必ずしも准看護師教育に精通した専門の職員が試験業務にあたっているわけではないため、都道府県の負担が大きく、外部へ委託できる仕組みを求める声が上がっていたことがあります。

 

今後、センターでは試験問題の作成や印刷、採点など、試験にかかわる業務を担っていくとしています。

 

 

准看護師試験の現状は?

准看護師試験は合格率が高いことが知られています。

 

2018年度の受験者は1万7449人合格率は96.9%でした。

 

毎年、准看護師試験の合格率は97~98%前後と非常に高い割合です(2018年度の看護師国家試験の合格率は89.3%)。

 

※准看護師養成所の受験者は9485人、看護師養成所の受験者は7441人、その他の受験者は523人

 

准看護師試験の合格率推移/2014年度:受験者1万7926人、合格者1万7611人、合格率98.2%/2015年度:受験者1万7433人、合格者1万7236人、合格率98.9%/2016年度:受験者1万7841人、合格者1万7473人、合格率97.9%/2017年度:受験者1万7746人、合格者1万7302人、合格率97.5%/2018年度:受験者1万7449人、合格者1万6910人、合格率96.9%

「准看護師試験の実施状況(厚生労働省)」を基に看護roo!編集部で作成

 

 

准看護師の養成をめぐる静かな攻防

准看護師の養成をめぐっては、人手不足や経営的な側面から存続させたい日本医師会看護師への一本化を目指す日本看護協会との間で、長年にわたって意見が対立しています。

 

しかし、准看護師養成所への入学者は年々減少し、2018年度は約8500人。養成数でみると、勢いは弱まっているようにみえます。

 

そのような中、今回設立されたセンターは、試験の周辺業務を担うのが目的ですが、医師会側の准看護師の養成を継続させるという強い意思を感じさせます。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

日本准看護師推進センター

平成30年度准看護師試験実施一覧(日本准看護師連絡協議会)

准看護師試験の実施に係る留意事項について(厚生労働省)

平成29年地方分権改革に関する提案募集 提案事項(埼玉県)

平成30年度准看護師試験の実施状況(厚生労働省)

平成29年度准看護師試験の実施状況(厚生労働省)

平成28年度准看護師試験の実施状況(厚生労働省)

平成27年度准看護師試験の実施状況(厚生労働省)

平成26年度准看護師試験の実施状況(厚生労働省)

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