特定行為研修が改正、研修の時間が短縮される!|看護roo!ニュース

勉強している看護師のイラスト

なかなか広がらない看護師の特定行為研修制度。

 

普及のネックになっている受講する看護師の負担を減らすべく、全員必修の「共通科目」などを中心に研修の時間が短縮されることになりました。

 

2019年4月下旬にも関連省令・通知が改正されます。

 

 

特定行為研修が受けやすくなる(かもしれない)3つのポイント

特定行為研修制度の見直しのポイントは大きく次の3つです。

 

特定行為研修制度の見直しのポイント図表、1)共通科目は現行より65時間短縮し、315時間から250時間へ、2)区分別科目は現行の約半分の時間数と5~10症例の経験に変更、3)3つの領域で研修メニューをパッケージ化

 

特定行為研修は、

全員が必修の「共通科目」(現行315時間)と、

それぞれ選択した特定行為区分ごとの「区分別科目」(現行15~72時間)

に分かれています。

 

今回の見直しでは、講義内容が重複していた部分を考慮するなどして、研修の効率化が図られました。

 

では具体的にどうなるか、詳しく見てみましょう。

 

 

共通科目はこうなる

 

共通科目の新旧表、臨床病態生理学45時間から30時間へ、臨床推論・フィジカルアセスメント・臨床薬理学はそれぞれ45時間で変更なし、疾病・臨床病態概論60時間から40時間へ、医療安全学30時間と特定行為実践45時間は合わせて45時間へ

 

「臨床推論」「フィジカルアセスメント」「臨床薬理学」はこれまで通りの学習時間を維持する一方、「臨床病態生理学」「疾病・臨床病態概論」「医療安全学」「特定行為実践」の時間数はそれぞれ短縮されます。

 

総時間数は315時間から250時間となり、約2割の短縮です。

 

 

区分別科目はこうなる

 

区分別科目の新旧表

 

区分別科目は現行では、決められた時間数の中で、講義・演習・実習を行うこととされています。

 

今回の見直しでは、このうち実習について時間数を規定するのではなく、経験症例数を規定する方法に変更されます(難易度に応じて5例または10例程度)

 

これに伴い、これまで実習に割り当てられていた時間数(規定時間の約半分)が減ります。

 

実習では「1人の患者に複数の特定行為を実施するケースがある」などとして、時間数で規定するよりも効率化できると見込まれています。

 

 

領域別パッケージは2020年春ごろの見込み

領域別のパッケージ化とは、「現場のニーズが高い」とされた3つの領域(在宅・慢性期領域、外科術後病棟管理領域、術中麻酔管理領域)で、それぞれ頻度の高い特定行為だけを組み合わせて研修するというものです。

 

必要最小限の特定行為に絞って学べるので、看護師が研修を受けやすくなるだろうと国は期待しています。

 

詳細はこちらの記事で解説しています。

 

 

共通科目と区分別科目は、関係省令が改正された後、それぞれの指定研修機関で準備が整い次第、短縮された時間数での研修が可能になります。

 

ただし、新たな審査が必要になる領域別パッケージ研修に関しては、2020年春ごろからのスタートになると見込まれています。

 

 

「修了者10万人」を国は本気で目指すのか

厚生労働省は、2025年までに特定行為研修の修了者を10万人にすると目標に掲げていましたが、2018年9月末現在で1205人にとどまります。

 

医師の働き方改革が叫ばれる中、チーム医療を推進するためのキーパーソンとして看護師、とりわけ「特定行為研修を終了した看護師」の役割に注目と期待が集まっていますが、今回の見直しだけで、特定行為研修を受ける看護師が一気に増えるとは考えられません。

 

国が本気で「10万人」を目指すのであれば、研修の受講にかかる高額な費用の補助や、研修中の代替人員の確保への支援、インセンティブとなるような診療報酬の手当など、さらに総合的な施策が必須です。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます

看護師の特定行為研修「修了者10万人」の目標に遠すぎる現状

特定行為研修はパッケージ化する…ってどういうこと?

「認定看護師」の資格制度、結局どうなるの?|日看協・担当理事の独占インタビュー

 

(参考)

特定行為に係る看護師の研修制度(厚生労働省)

医道審議会  看護師特定行為・研修部会「特定行為研修の研修内容等に関する意見」(厚生労働省)

第 19 回 医道審議会 看護師特定行為・研修部会資料(厚生労働省)

SNSシェア

コメント

0/100

キャリア・働き方トップへ

掲示板でいま話題

他の話題を見る

アンケート受付中

他の本音アンケートを見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆薬剤管理・作用の問題◆抗がん剤投与中に血管外漏出が発生した場合、まず行う対応はどれでしょうか?

  1. 抗がん剤の投与を中止する
  2. 患部にステロイド外用剤を塗布する
  3. 患部に温湿布を貼用する
  4. 滴下速度を遅くする

11235人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

8985人の年収・手当公開中!

給料明細を検索