タスクシフトするなら責任も一緒にシフトして!|タスクシェア/シフト、どれだけできる?

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

加藤勇治=日経メディカル

 

医療には様々な疑問が山積している。医学的な判断はもちろん、より良い医療を提供するための制度・仕組み、医師本人のキャリアプランなど。しかしこうした疑問には正解がないのが普通だ。

 

だからPros Cons。他の医師はどう考えているのか? 自分にない考え方を知り、新しい視点を持つことで、明日からの医療はもっと良くなるに違いない。

Pros Cons:pros(賛成)とcons(反対)で、併せて賛否両論の意。ディベート用語の1つで、「メリットとデメリット」「賛成意見と反対意見」など、賛否に分かれて議論することを指す。

 

 

タスクシェア・タスクシフトで移行できる業務がどれほどあるか、3697人の医師にアンケート調査をした回答を表す円グラフ。かなりの部分移行できる 50%、移行できる業務は限定的 50%。

 

日経メディカルOnline医師会員を対象に調査。設問文「タスクシェア・タスクシフト(医師の仕事の一部を他の医療職に担ってもらう)で移行できる業務はどれくらいあると思いますか。お考えに近い方をお選びください」。全回答者数は3697人。「かなりの部分を移行できる」1734人、「移行できる業務は限定的である」1704人、「この質問には答えない」451人。調査期間は2019年1月24日~2月1日

 

多忙を極める医師の仕事の一部を他のスタッフに任せられたら……。働き方改革の関連でも注目を集めるタスクシェア・タスクシフト。

 

半数の医師は「かなりの部分を(他のスタッフに)移行できる」と回答。「医師は医師にしかできない仕事をすべき」「医師免許がなくてもできることを医師がしてはいけない」との声が寄せられた。

 

一方、「移行できる業務は限定的」と回答した残りの半数の医師では、「医師が対応した方が早い」「医師の誇りにかけて渡せない」などの意見があった。

 

またどちらに回答した医師からも、「責任も移行すべき」とする意見があった。「責任逃れで何でも医師にやらせる」「他の医療職は責任を持ちたくないという人が多い」という意見も寄せられた。

 

「かなりの部分を移行できる」を選んだ理由(抜粋)


・医師は医師にしかできない仕事をやるべき。(30代病院勤務医、整形外科)

・できないのはその人が自分の業務整理ができていないだけ。(30代病院勤務医、感染症科)

・アメリカではIVH挿入専属の技術者がいる。日本では血液内科医がこれに失敗して死亡例が出て、その医師の将来が無くなった。(50代病院勤務医、一般内科)

・それこそAIがほとんどの業務をこなす。(60代開業医、一般内科)

・既に退院サマリーなどの書類作成に関しては、かなりクラークに移行している。(40代病院勤務医、泌尿器科)

・無駄な書類と会議から医師を解放すべき。(60代病院勤務医、一般外科)

・ほとんどの仕事は看護師で十分。(40代病院勤務医、脳神経内科)

・役所から押し付けられる文書が多すぎる。(50代診療所勤務医、一般内科)

・採血、皮下注/筋注、点滴静注は若い器用な看護師の方が上手。老眼鏡を掛けた爺医者はやらない方がよい。(60代開業医、産科・婦人科)

・変なプライドは捨てて任せるべき。(50代診療所勤務医、整形外科)

・制度・仕組みを作ればかなり移行できる。いちいち頼むとなると自分でやってしまうことも多い。(50代病院勤務医、糖尿病科)

・医師がやらなければならない内容なんて外来ではほとんどない。(30代病院勤務医、呼吸器内科)

・医師免許がなくてもできることを医師はしてはいけない。(40代開業医、耳鼻咽喉科)

・歴史的に見て医師の業務独占はその範囲を変化させている。(60代病院勤務医、一般内科)

・責任逃れで何でも医者にやらせている処置が多い。(40代病院勤務医、泌尿器科)

・そもそも産婦人科では助産師にかなりの部分をタスクシェアしていたのに、だんだん医師側にタスクシフトしている。(50代診療所勤務医、産科・婦人科)

・責任もシェア/シフトしたい。他の医療職がしたことの責任を医師が取るのなら、恐ろしくてシェア/シフトできない。(60代診療所勤務医、産科・婦人科)

 

 

「移行できる業務は限定的である」を選んだ理由(抜粋))


・患者との信頼関係構築のためには直接関与しなければならないことが多々ある。(60代開業医、小児科)

・現状では責任問題をどうするかが不明だから。(30代病院勤務医、放射線科)

・全ての行為に医師としての知識や経験が必要だから。(60代開業医、循環器内科)

・医療知識が足りず、代行作成された書類も常に修正しなければならない。(60代病院勤務医、脳神経内科)

・医師が対応した方が結果として早い内容も多い。(40代病院勤務医、脳神経内科)

・実際の現場では医師以外では遂行不可能。(50代診療所勤務医、整形外科)

・タスクシフトに伴って責任も移行しない限り、移行できる業務は限られる。(50代病院勤務医、皮膚科)

・問題は医師でなくともできる仕事が多すぎること。それらだけを移行すれば、本来の業務はいくらあっても医師なら厭わないはず。(60代診療所勤務医、一般内科)

・情報の共有がどれだけできるかがカギ。医師の常識が他の医療職の常識とは限らない。(60代病院勤務医、一般内科)

・他の医療職には責任を持ちたくないという人が多い。(30代病院勤務医、消化器外科)

・患者の、医師に対する思いと他の医療職への思いが分担を決めるだろう。(60代病院勤務医、一般内科)

・抵抗が多いどころか、医師に仕事を集めたがる傾向にある。(30代病院勤務医、総合診療科)

・「医師免許がなくてもできることは致しません」と言ってみたいものだ。(40代病院勤務医、小児科)

・医師の誇りにかけて渡せない。(50代開業医、小児科)

・現になかなか移行できずにいる。(40代開業医、眼科)

・下手に移行すると違った治療方針を患者に話されたりすることがある。(60代開業医、一般内科)

 

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

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