自分が担当する新人が年上なときの処方箋|初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫!【9】

自分が担当する新人が年上なときの処方箋のトップ画像。

 

プリセプターの仕事は、ただでさえ悩みが多いもの。

その中でも特別な悩みを抱えるのが自分より年上の新人を指導する場合。

 

今回は実際に年上の新人を指導しているプリセプターのお悩みの声から、3つのポイントをまとめました。

 

執筆/白石弓夏 看護師

監修/上村美穂

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)

教育担当副部長、集中ケア認定看護師

 

 

連載:初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫!

Vol.9 自分が担当する新人が年上なときの処方箋

 

【1】プライドが高いことは気にせずに

プライドが高く、上から目線な年上の後輩のイラスト


 

Check!

新人のプライドが高いと感じても、そこにフォーカスせず、自然体で接する。

 

(お悩みの声)

年上の新人を担当しているのですが、年下の私に教えられるのが嫌な様子で、明らかに初めて伝えることでも「あっ、それもう知ってます~!」と口癖のように言われてしまいます。こんなふうにプライドが高い新人にはどう対応すればいいのでしょう?
このままだと、伝えたいことを伝えにくくなり、いつか大きなインシデントにつながってしまいそうです(Aさん)

 

プリセプターが「新人のプライドが高い」と感じているとき、理由は大きく2つのパターンがあります。

 

1つ目は「新人なんだから」というプリセプター側の姿勢が強く出すぎて、プリセプティーがそれまでの経験で培ったことを否定された、と感じている場合。

 

この場合は、新人が今までの経験で得たものを肯定的にとらえて認めることが、態度の軟化につながります。

 

2つ目は、新人が「年上なのにできないところを見せられない」と虚勢を張っている場合。

このケースは、「新人なのだからできなくて当然」という安心感を与えることが有効です。

 

ただ、どちらの場合も年下のプリセプターからでは、新人にうまくアプローチできないこともあります。アソシエイトや主任など、上長に相談しながら進めましょう。

 

プリセプターとして大切なのは「プライドが高い」ことを気にしすぎず、伝えるべきことを伝え、自然体で接することです。

 

●実践している先輩の声

私が担当している新人は、プライドが高く、指導しても誤りを認めなかったり知ったかぶりをするタイプでした。最初はイライラしていたのですが、ある日から「気にしない」と決めたところ、自然と新人の様子も変わってきました。「気にしない」と割り切ることも大事だと思います。(Bさん)

 

 

【2】やりやすい方法を一緒に考える

困ってる年上の後輩と一緒に、やりやすい方法を模索しようと提案する先輩看護師のイラスト。

 

Check!

ストレートで入ってきた新人と同じやり方をあてはめるばかりではなく、その人に合った方法を一緒に考える。

 

(お悩みの声)

私が担当している年上の新人は、メモをとっているのに何度も同じことを聞いてきます。なぜ伝わらないのかわからなくて、疲れてしまいます。(Cさん)

 

年上の新人、特に社会人経験のある人は、それまで受けてきた教育と、病院での教育が違うことに、戸惑いを感じることもあるようです。

 

他の新人とは違ったつまずきポイントがある可能性に留意しましょう。

 

やりやすい方法を一緒に考えることで、コミュニケーションが円滑になり、業務上必要な信頼関係の構築につながります。

 

●実践している先輩の声

何度も聞くということは、やりづらさや私が気づいていない課題を感じている場合があると思います。

 

「このやり方わかりにくいですか?」と聞いて、「じゃあ一緒にやり方考えましょうか~」という感じでやっています。(Dさん)

 

 

【3】以前の経験をうまく生かしてもらう

協力して効率的な仕事の進め方を見つける看護師たちのイラスト

 

Check!

年齢や性格は気にしすぎず、以前の経験をうまく生かしてもらう。

 

(お悩みの声)

私が担当している新人は6歳年上です。おっとりしたタイプで、他の新人よりも進みが遅れてしまっていて…。年上だけに、どう伝えたら改善するのか悩みます。(Eさん)

 

「おっとりしている」などの部分が気になるかもしれませんが、人の性格を変えるのは容易ではありません。

 

そういった部分を気にしすぎず、以前の経験をうまく生かしてもらう促しができるといいでしょう。

 

その人がそれまで経験してきたことに、目を向けることも大切です。

 

●実践している先輩の声

私が担当している新人は、処置の準備や介助がゆっくりで、いつもモタモタしているように感じていました。

でも、前職の経験から事務仕事は誰よりもスピーディー。記録にかかる時間が短く、巻き返せています。なので、アソシエイトとも相談して、今は進みの遅さをそこまで気にしなくてもいいかな、と。

 

技術の進み具合に関しても「現段階で未経験なのはこれです」と簡単な資料を作ってくれたこともありました。

以前の経験を業務に生かしてくれているので助かります。(Fさん)

 

 

【まとめ】他の新人と同じく「相手の背景をよく知る」ことが大切

「年上だから」と身構えてしまうこともあると思いますが、プリセプターの業務として「相手の背景をよく知る」ことが大切なのは、他の新人を指導する場合と変わりありません。

 

この連載で何度も伝えているように、プリセプターは「新人の一番身近な相談役」でいてほしいと思います。

(参考記事:「プリセプターに向いてない…」「新人と相性が悪い…」と思ったときに読む記事

 

年上の新人に対して戸惑いややりにくさを感じている場合、プリセプターはそれを新人には伝えてはいけないと思いがちです。

 

でも「身近な相談役」として、自分が感じている戸惑いなども素直に伝えることで、新人も自分の気持ちを伝えるきっかけになり、信頼関係構築につながります。

 

この記事で紹介した3つのポイントを参考にコミュニケーションをとり、上長と連携しながら、指導を進めていってください。

 

編集/坂本綾子(看護roo!編集部)

 

【監修者 プロフィール】

上村美穂(かみむら・みほ)

1996年 聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳神経外科病棟 入職

2003年 集中ケア認定看護師 取得

2006年 川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)ICU・CCU異動

2017年~ 同病院 教育担当師長

2019年4月~ 同病院 教育担当副部長

 

新人指導についてのみんなの経験談はこちらから

▷『新人の対応教えてください。』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

▷『年上の後輩』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

▷『年配の方の新人指導に困っています』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

 

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