対応に困る5つの場面【Q＆A】｜初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫！［最終回］

 

プリセプターを初めてやる看護師が、「これさえ読んでおけば一年乗り切れる」実用的な内容をお届けしているこの連載。

最終回は、これまでのまとめとして、対応に困る5つの場面にQ＆A形式でお答えします。

 

連載：初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫！

最終回　対応に困る5つの場面【Q＆A】

執筆/白石弓夏 看護師

監修/上村美穂

川崎市立多摩病院（指定管理者 聖マリアンナ医科大学）

教育担当師長、集中ケア認定看護師

 

【Q1】指導中に他の先輩が口出ししてくるときの対応は？

 

 

【A】行動計画の内容を伝え、必要ならプリ会などで報告・相談を

急な割り込み業務は、新人にとって大きな負担です。

患者さんの都合ならまだしも、一人の先輩の意見で新人を振り回すのは良いことではありません。

 

しかし、見学を提案してきた先輩も効率が良くなると思って声をかけてきた可能性があります。

 

そのことに感謝を示しつつ、計画的に取り組むほうが新人にとって効果的である、と理解してもらえるよう先輩に行動計画を伝えましょう。

 

もし、そのようなことが続く場合には、病棟会やチーム会、プリ会などで議題とし、新人へのかかわり方を統一しておくことが重要です。

 

 

【Q2】新人が落ち込んでいるときの対応は？

 

 

【A】プリセプターは「新人の一番身近な存在」でいられるように

元気づけたくて「頑張ろう！」や「大丈夫！」をつい言ってしまいがちですが、逆効果のこともあります。

 

安易に励ましても、新人は「十分頑張っているよ…」「何が大丈夫なの？」と思ってしまうからです。

 

元気づけたいならば、新人のできていることを、具体的に伝えることが効果的です。

 

また、悩んでいることを自ら表現できない新人も少なくありません。

 

相談されるのを待つのではなく、沈んでいる様子の新人にはためらわずに声をかけましょう。

 

新人の話を聞くときには、自分が新人の頃の経験談などを語りながら、身近な存在であることや、理解者であることを伝えてあげてほしいと思います。

 

どんなに立派な言葉をかけても、身近な先輩に思えなければ、新人にも伝わりません。

 

 

【Q3】「新人は怒らないで」と言われたときの対応は？

 

 

【A】「怒る」のではなく「伝える」

新人が、患者さんの不利益になることやルール違反をしたときには、指導をし、再発防止策を一緒に考えることも、プリセプターの大切な役割です。

 

ただその際、「怒る」ことは効果的ではありません。

なぜ今注意や指摘をしているのかが、きちんと新人に伝わるように「伝え方を工夫する」といいと思います。

 

怒るのではなく、伝えてほしいから、師長さんは「怒っちゃダメよ」と言ったのかもしれませんね。

 

 

【Q4】後輩が思うように育ってくれないときの対応は？

 

 

【A】新人はチームで育てるもの

プリセプター1人だけの関わりで、新人が思うように育つことはありません。

新人担当として、負担に思っていることや、悩んでいることは、先輩や上司に相談し、解決していくことが大切です。

 

一番やってはいけないことは、過去の自分や、周囲の新人と比較することです。

自分が受けた指導方法や、以前のやり方では通用しませんし、周囲と比較することが逆効果の場合もあります。

 

今、他の人より遅れているからといって、その新人の看護師人生全体からみれば些細なことです。

 

より個別性を重視した指導が必要であると認識したうえで、焦らず、周囲と新人の状況を共有・相談しながら接していってください。

 

 

【Q5】新人が辞めたいと言ってきたら？

 

 

【A】新人が辞めたい理由に向き合ったうえで、許可をとり上長に相談を

新人が突然辞めたいと言ってきたとき、とてもショックですよね。

でも、新人は「辞めたい」と突発的に思う瞬間もあるものです。

 

まずは「自分には相談してくれたのだ」と考えを転換し、新人の気持ちを聞き、受け止める時間を設けましょう。

 

そのあとで、「上長にも相談する？」「一緒に話にいく？」と促すか、「◯◯さんの気持ち、主任や師長に伝えてもいい？」と聞き、新人の許可を得て、必ず上長に相談しましょう。

 

退職に関することは、プリセプターだけで処理できることではありません。

 

「せっかく育てたのに！」という気持ちや、「どうにか引き止められないか」と考えすぎず、まずは新人が辞めたいと思った理由にしっかりと向き合いましょう。

 

プリセプターの役割はそこまでで、「辞めたい理由」に対してどう対応するか、は上長とともに組織的に考えていくことが大切です。

 

 

最終回にあたって

プリセプターの役割は、大変なことも多く負担に感じてしまうこともあると思います。

しかし、新人にとってプリセプターは、いてくれるだけで安心できる重要な存在なのです。

 

選ばれたことに自信と自覚をもって、どんな看護師に育ってほしいのかという「ねがい」を忘れずに新人と向き合っていってください。

 

積み重ねた努力は、きっと自分自身を成長させてくれると思います。

 

編集/坂本綾子（看護roo!編集部）

 

 

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