ナースのお悩み処方箋【21】がんばっているのに、うまくいかない

「努力は必ずしも報われない。でも、必ずあなたのプラスになっている」

すごく頑張っているのに、なかなか上手くいかない、という経験はありませんか?

 

どう説明すればわかりやすいかを考えて、いろいろな視点から患者さんに指導していたら、うるさいナースだとそっぽを向かれたり。

少しでも楽になってもらいたくて、こまめに訪室していたら、ウザいと陰口を叩かれていたり。

 

後輩を指導していても、どうにもちゃんと伝わっていない気がして、「ああもう、なんでわかってくれないのよっ!」と地団駄を踏みたくなったり。

 

努力が実を結ばない時は本当に辛いものです。

誰かのためにと思ってやったことなら、尚更ですよね。

 

認められるためにやってるわけじゃないけど、もうやめちゃおっかな~。

どうせ認めてもらえないのなら、やるだけ無駄だよね・・・。

 

-と、つい楽な方に流されてしまいそうになりませんか。

だって、心を受け取ってもらえないのは辛いもん。

 

でも、ちょっと待って。

だからって努力をやめちゃうのは、ちょっともったいないですよ。

 

冒頭の言葉は、後輩指導に疲れた私を見かねた先輩ナースが、私に言ってくれたものです。

 

「あなたの言葉や気持ちが伝わらないんじゃない、あの子にあなたの言葉を受け入れるだけの余裕がないだけ。

 

たとえ努力が結果に繋がらなくても、その努力をした『過程』はあなたの中にも、あの子の中にも残るものだから、そんなに急がずに、もうちょっと時間をかけてみたらどうかな?」

 

少し話が逸れますが、看護の仕事というものは、『結果』だけでなく『過程』も重視される仕事なんだなぁと思うことばしばしばあります。

 

他の業界の仕事についてはよくわかりません。

とはいえ、話を聞く限りでは、過程より結果を重視されることが多いようです。

 

そういえば、身近な職業であるドクターのお仕事も、割と結果主義的なお仕事ですよね。

「頑張りました、でも、患者さんは助かりませんでした」

そういう事例の場合、ドクターは矢面に立たされてしまいます。

たとえ不眠不休で努力していたとしても、結果が全てで、ヤブだ何だと患者さんやご家族に言われてしまうのです。

 

でも、看護の仕事は違います。

治った・治らない、が、着地点ではない、ということもあるかもしれません。

 

ケアをした結果、その患者さんの状態が良くなったとしても、心のこもっていないケアだと言われてしまえば、全ての努力がなかったことにされてしまいかねません。

 

逆に状態が悪化したとしても、心をこめた丁寧なケアを続けていれば、患者さんのQOLが向上したり、ご家族に感謝されたりもします。

 

患者さんへのケアと、後輩指導。

どちらも人と人との信頼関係がなければ成立しません。

 

ああ、もう、相手との信頼関係をいかにスムーズに組み上げるか、なんて、永遠の悩みの種ですよ!

この仕事について、10年以上ですが、今でも悩みは尽きませんよ!

きっとこの先も延々と悩み続けることでしょうね。

 

それだけに、いえ、それだからこそ、やり甲斐がある仕事だと思いませんか?

―と、自分に言い聞かせて、へこみそうになる自分を慰めている日々です(笑)。

 

 


 【岡田久美】 兵庫県出身。看護書籍の編集とゲームシナリオライターを本業に、フリーの看護師として活躍中。いつでもどこでもどんなところでも勤務できるオールマイティな看護師を目指し、これまでの勤務職場は病院、クリニックなど30以上。

著書に「看護師の流した涙」(ぶんか社)がある。

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