看護師は気づいていた!?医師の違いで医療費は大きく異なる

「同じ疾患に対する治療において、請求される医療費は病院の違いよりも、医師の違いによるものが大きい」という研究結果が明らかになりました。

米国ハーバード大学の研究チームが今年(2017年)発表したものです。

看護師として臨床にいると、納得する部分も多いのではないでしょうか?

 

 

病院の違いによるばらつきは6.2%、医師の違いによるばらつきは10.5%

この研究では、米国の病院(約3,000)を対象に約80万の入院データが解析に用いられました。

そして、入院医療費のばらつきについて、「患者要因」「医師要因」「病院要因」のそれぞれで説明できる割合を計算しています。

 

その結果、病院の違いによるばらつきが6.2%であったのに対し、(同じ病院内の)医師の違いによるばらつきが10.5%と高いことがわかりました。

 

 

医療費が高くても良質な治療とはかぎらない

また、同研究では「医療費の違い」と「再入院率・死亡率」とは関係がないことも明らかになりました。

 

つまり、「医療費が高い=良質な治療を受けることができる(再入院しない・死亡しない)」というわけではないということです。

 

 

一度は会ったことのある「“やさしい”医師」「“心配性な”医師」

それでは、なぜ医師の違いで医療費が高くなるのでしょう?

察しの良い看護師なら、もうお気づきかもしれません。

 

看護師として臨床にいると、こんな医師を見かけたことはありませんか?

やさしい対応が評判の医師で、患者さんから「あの薬を飲んでいると調子がいいから、出してください」とお願いされると、問題点を確認せずに処方する医師。

 

「その検査、必要かな?」と思うような場面で検査をオーダーする心配性な医師。

 

このような場面に遭遇したことのある看護師であれば、医師の違いで医療費が変わることは想像に難くないと思います。

 

このような過剰診療については、患者さんの医療費の支払いが高くなるだけでなく、国に対しても経済的な負担を強いることになるのです。

 

 

高額な医療費をとっている医師は悪い医師?

このような研究がもし日本で行われ、医師同士で明らかに医療費に違いがあることが分かったとしたら、あまり考えずに「高額な医療費をとっている医師は悪い医師だ」と、レッテルを貼る人もいるでしょう。

 

しかし、患者さんのためを思っているからこそ希望に沿いたいと思ったり、慎重にさまざまな検査をする医師の気持ちは、共感できるところもあるのではないでしょうか。

 

「医療の質を保ち、患者の健康を守りながら医療費を抑えるためには何が必要なのか?」を考え続けることが必要になりそうです。

この研究結果について、あなたはどう思いますか?

【看護roo!編集部】

(参考)

Yusuke Tsugawa, et al:Variation in Physician Spending and Association With Patient Outcomes.JAMA Intern Med. 2017;177(5):675-682. 

どの医師に診てもらうかで、かかる医療費が大きく異なることが最新の研究で明らかに(津川友介)

 

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