「Q助」は看護師の味方!?救急車の適正利用を促すアプリとは

総務省消防庁は、救急車を呼ぶ目安を示してくれるアプリ「Q助」を公開しました。

看護の現場でも、軽症者の救急搬送が問題視されるなか、救急車の適正利用を促す方策の1つとして期待されています。

 

「Q助」は看護師の味方!? 救急車利用を適正化するアプリとは

 

〈目次〉

 

4段階で症状の緊急度を判別

「Q助」では、まず初めに「息がない」「脈がない」「冷たくなっている」など、緊急度の高い症状が選択肢に現れます。

 

次に、年代を選択してから、「のけが」「手足の問題」「口の中やの問題」「やけど」「固形物を飲みこんだ」「胸やおなかをぶつけた」など細かい症状を選びます。

 

 

いくつかの質問に答えていくと、「今すぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」「引き続き、注意して様子を見てください」の4段階に判定される仕組みです。

 

 

 

看護師の5割が「必要性低い救急搬送が多い」と感じている

2016年の救急出動件数は約621万件となり、過去最高を更新しました。

増え続ける救急搬送に対し、救急医療現場の受け皿は限界を超えています。

 

日本臨床救急医学会のアンケート調査によれば、医師の3割、看護師の5割が「救急車で来院する必要性が低い患者さんが多い」と感じていて、その傾向は2次救急の医療機関ほど高い傾向にあります(※)。

(※中央値)

実際に、救急搬送者を傷病程度別にみると、軽症者が全体の49.2%(2016年)を占め、適正な利用とはほど遠いのが現状です。

 

また、必要性が低いにもかかわらず救急車を呼ぶ理由として、「自分では緊急度を判断できない」がトップに上がっています。

 

「Q助」や救急相談センター「#7119」が普及することで、少しでも不要不急の救急要請が減れば、現場の負担の軽減につながることが期待されます。

 

 

医療情報ネットやタクシー情報もリンク

「Q助」では、もっとも緊急度が高い結果になると、そのまま119番通報できる画面が表示されます。

また、いずれの緊急度でもどの診療科を受診すべきかの目安が示されます。

 

さらに都道府県別に医療機関が検索できる「医療情報ネット」、全国のタクシー業者が調べられる「全国タクシーガイド」のリンクも張られ、受診を支援します。

 

 

2万2,000件のダウンロード、医療部門トップに

アプリは5月25日に公開され、消防庁によれば6月10日現在のダウンロード数は2万2000件、Google Playからのダウンロード数は医療部門で5月の月間トップということです。

消防庁担当者は「予想を上回るダウンロード数に驚いている」とコメントしています。

 

アプリのコメント欄からは「救急受診を悩む時に参考になる」「もっと早くあればよかった」など、歓迎する様子がうかがえます。

 

 

いかに適正利用を推進するかが課題

増え続ける救急出動件数に対し、いかに安定的に救急活動を継続するかは大きな課題です。

 

軽症者に対する救急出動が増え続ければ、医療現場や救急現場はさらに疲弊し、本当に必要な重症者に救急出動が行き渡らないなど多くの問題につながります。

 

消防庁では、アプリが広く活用されることによって「不要不急の救急出動が抑制されること、本当に緊急度の高い人の救命を見落とさないこと、の2点が大きな目的です」と、適切な救急活動が推進されることに期待を寄せています。

 

【ライター:横井かずえ】

 

<参考>
消防庁全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」)

「平成28年の救急出動件数等(速報値)」の公表(2017年3月21日付、総務省、消防庁)

「風邪薬が欲しくて」救急要請!?-救急車の適正利用で医療者らが本音トーク(看護roo!)

 

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