病院より10万円低賃金、残業なしと激務の二極化|介護施設ナースの実態(前編)

日本看護協会(以下、日看協)は、2017年3月に「介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業」報告書(PDF)をとりまとめました。

 

この報告書により、介護施設で働く看護師の給与と労働時間の実態が明らかになりました。

 

介護施設ナースの実態【前編】

病院より10万円低賃金、残業なしと激務の二極化

 

 

 

 

介護職員のお給料、病院より10万円少ないことも

今回の調査は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設訪問看護ステーションなど、(2,500施設)を対象にした大規模調査です。

 

賃金については、常勤正職員の平均月額給与が明らかになっています。

 

図1 常勤正規職員の看護師の平均給与総月額

(脚注)

病院と比べると、介護施設・事業所のほうが低く、年齢が上がっても金額はあまり上がらないことがわかります。

 

なかでも、介護老人福祉施設は低い水準にあり、40~49歳では病院と比べて10万円以上も低くなっています。

夜勤の有無が一因であることも考えられます。

 

 

賃金の決定基準は「経験年数」「勤続年数」

今回の調査では、施設や訪問看護ステーションの賃金を決める基準は「経験年数」「勤続年数」が重視され、「年功基準」「職務基準」が重視される病院とは異なることもわかりました。

 

また、賃金を決める基準となる賃金表の有無についても調査が行われました。

賃金表とは、年齢や勤続年数、能力など、条件ごとの賃金支給額を示した一覧表のことです。

 

賃金表があれば、それに基づいて賃金が決まるため、経営側にとっては人件費の見通しが立てやすくなり、雇われる側にとっては金額の根拠が明確になるというメリットがあります。

 

図2 看護職員の賃金表の有無

※「回答なし」を除いてグラフ化しています(数字の合計が100%にならない)。

 

病院では82.7%が「賃金表あり」と答えていますが、介護施設・事業所では介護老人福祉施設以外は病院より低く、またバラツキが目立ちます。

 

特に「認知症対応型共同生活介護事業所」ではわずか26.2%という結果となっています。

 

 

「月残業20時間以上」と「残業なし」の二極化

時間外労働時間(残業時間)はどのくらいでしょうか。

 

図3 時間外労働時間(月間)

病院に比べると、「残業時間ゼロ」の施設・事業所が多い一方で、「残業時間が20時間以上」も多いことがわかります。

 

残業がない場合と、残業が多い場合とで、二極化している状況がうかがえます。

 

***

一方で、介護施設や訪問看護ステーションの勤務に対し、やりがいを感じている看護師が多いという結果も示されています。

後編では、働きがいやモチベーションについてみていきます。

【看護roo! 編集部】

 

(脚注)

図1~3は、2017年5月18日(木)に行われた「平成29年度 都道府県看護協会 看護労働担当者会議」資料を基に編集部にて作成しました。

 

(参考)

「介護施設等における看護職員に求められる役割と その体制のあり方に関する調査研究事業」報告書(日本看護協会)

「平成29年度 都道府県看護協会 看護労働担当者会議」資料(2017年5月18日 開催)

介護施設等で働く看護職員の役割・業務・処遇等を把握する目的で調査を実施しています(日本看護協会

 

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