介護福祉士は2年で看護師になれる?短期間で資格取得が可能に

介護福祉士などの資格を持つ人が、新たに看護師を目指す場合、従来よりも約1年短いカリキュラムで看護師資格を取得できるようにする新制度の検討が始まりました。

 

同様に、看護師が他の資格を取得する際も、これまでより短い期間で取得が可能になります。早ければ2021年度から導入されます。

 

医療・福祉資格のカリキュラムを共通化

慢性的な人手不足が続く中、政府は看護師や介護福祉士など、医療・福祉分野の資格取得のためのカリキュラムを一部共通化する方針を固めました。

 

これによって、医療・福祉の資格を持つ人が新たにほかの資格を取得する際、従来よりも短い時間での取得が可能になります。

 

今のところ検討されている案では、医療・福祉の資格を取るためのカリキュラムに1年程度の「基礎共通科目」を設置

 

基礎共通科目の上に、看護師や介護福祉士などそれぞれの資格に必要となる専門科目を上乗せする“2階建て”のカリキュラム構造とすることが検討されています。

 

看護師から理学療法士などへの変更も

例えば現状では看護師になるためには、最低でも3年間の養成課程をクリアする必要があります。

 

これが、介護福祉士などの資格を持つ人は、共通科目はすでにクリアしているとみなされ、2年程度で看護師になることが可能になるというわけです。

 

反対に、すでに看護師資格を持つ人が理学療法士など他の資格を取得する際も、これまでより短い期間での取得が可能になります。

 

 

看護師や理学療法士など12資格が対象

対象となる資格は、次のようなものが示されています。

 

【医療】

看護師、准看護師理学療法士作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、診療放射線技師、臨床検査技師

 

【福祉】

社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、保育士

 

 

准看と介護福祉士については来年度スタートも

看護師や理学療法士などの医療・福祉資格については今年度から5年をかけて議論を進めます。

 

一方で、准看護師と介護福祉士の単位の相互認定については先行して進める方針で、早ければ来年度から新制度がスタートする可能性もあります。

 

 

浮かんでは消える“資格統合論”

医療・福祉の人材不足が解消されない中、以前から「日本版ラヒホタイヤ」(*)などと呼ばれる、「保育士+介護福祉士」や「准看護師+介護福祉士」など、資格の統合案が浮かんでは沈むことが繰り返されてきました。

 

今回は、政府の「経済財政諮問会議」を経て、厚労省が新たに議論の場を設けるなど、カリキュラム共通化の実現性は高まっているともいえます。

 

一方で、資格の取得を促進することがすぐさま人材不足の解消につながるかは不透明です。

 

また、看護師と介護福祉士では必要とされる知識が大きく異なる中、「医療・福祉」と一括りにすることが、現実的かどうかも意見が分かれるところです。

 

*「ラヒホタイヤ」とは、フィンランドで導入されている保健医療の統合職のこと。保育士や准看護師、介護ヘルパーなどの仕事をトータルで実施できる資格を指す。

 

【ライター:横井 かずえ】

(参考)

地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現(厚生労働省)(pdf)

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